相続発生「動画サブスクの契約を解除したいが…」 故人の「デジタル遺品」どのように“整理”する?【弁護士解説】
サブスク利用料、死後発生しても「取り戻すのは困難」
また、動画や音楽のサブスクリプションサービスの契約について、鮎澤弁護士は「早急に解約の手続きを進めるべき」だと念を押した。 「利用しているサービスの約款にもよりますが、サブスクは多くの場合、本人の死亡時に自動で解約されるわけではないので、原則として、サブスク利用者の地位および、サブスクの支払い義務は、相続人が負うと考えておいたほうがよいでしょう。 仮に対応が遅れるなどして、契約者の死後に利用料が発生したとしても、それを取り戻すのは困難な場合が多いようです。債務を増大させないためにも、すみやかに解約しておきましょう」(鮎澤弁護士)
デジタル資産、相続できなくなる可能性も…「日頃から備えを」
では、自分に万が一のことが起きた時に、家族を苦労させないために何ができるのだろうか。 鮎澤弁護士は前述したような注意点に加え「日頃からの備えが重要だ」とアドバイスする。 「デジタル資産の存在を知らないまま、遺族が家庭裁判所で相続放棄の手続きをすると、もはや相続ができなくなってしまいます。 このような事態を避けるためにも、スマホ等のアカウントにアクセス可能な人をあらかじめ指名しておくサービスを活用するなど、もしものときへの備えが大切です。 ほかにも、エンディングノートを作成し、利用しているデジタル資産を書き残しておくことも有効でしょう」(鮎澤弁護士) また、国民生活センターも、IDやパスワードを適切に管理しつつ、遺族に伝える方法として、以下の手法を紹介している。 ①紙にパスワード等を記入し、パスワード部分に修正テープを2~3回重ね貼りしてマスキングして保管しておく(または、パスワードをそのまま書かず、家族にだけわかる合言葉を記載する) ②遺族が必要なときに、コインなどで修正テープ部分を削ってパスワード等を把握する 家族の万が一の際に何をやるべきか把握しておき、自身も遺族に迷惑をかけぬよう、今のうちから重要な情報については、整理を進めておくことが肝要だろう。
弁護士JP編集部