【最新データを入手!】勢力差は25倍に拡大…10年目を迎える山口組分裂抗争「驚きの最新勢力図」
国内最大の暴力団「六代目山口組」が分裂し、離脱した「神戸山口組」との対立抗争に入ってから、今夏で10年目を迎える。対立状態は長期にわたるなか、この間に双方の勢力差は大きく広がっている。 【最新近影】すごい…!幹部たちに見送られ高級車に乗り込む六代目・司忍組長「オーラあふれる」肉薄撮 六代目山口組が分裂したのは’15年だった。分裂時の六代目山口組の構成員数は約6000人で、神戸山口組は約2800人。両陣営の戦力差はほぼ2倍だった。その後、六代目山口組側が引き起こす事件が多発したこともあり、神戸山口組から離脱する傘下組織が相次いだ。 そして「分裂抗争10年目」の節目を前に、両陣営の構成員数の差はかつてないほど開いている。警察庁は毎年の年末時点で指定暴力団の構成員数などをまとめている。その最新データによると、昨年末時点で六代目山口組の構成員は約3500人が確認され、対する神戸山口組は約140人に激減しており、勢力差は25対1にまで拡大しているのだ。神戸山口組は組織の縮小が続き、すでに大勢は決しているとみられるが、対立抗争が再燃する可能性もあり警察当局は警戒を続けている。 両陣営の勢力差がここまで大きく開いた理由について、警察当局の捜査幹部は、「神戸山口組の減少スピードが速いのは組単位で離脱する者が多いため」と分析する。神戸山口組は山健組組長だった井上邦雄をトップに、宅見組、正木組、池田組、侠友会の5組織を中核に13組織で結成された。しかし、山健組は六代目山口組へ復帰、宅見組と池田組は離脱して独立、正木組と侠友会は解散したため、結成時の中核5組織はすべて離れたことになる。 神戸山口組は四分五裂の状態にある。対立抗争を注視してきた指定暴力団の幹部は、「(神戸山口組組長の)井上は引退して組織を解散すべきだが、子分に殺される可能性もあり引退できないのではないか」と指摘し次のような考えを示す。 「子分は親分を信じて、何もかも自分の命まで預けている。それなのに、(親分が)自分の都合で死にたくないからと勝手に引退したら、子分は、『なんだこの野郎!分裂してもこれまでついてきたのに、怖いから引退するなら、最初から分裂など引き起こすのではなかったではないか』となるのは当然だ」 分裂後の対立抗争事件でこれまで事件を起こして服役している組員は双方ともに少なくない。このため、「懲役に行っている者が帰ってくるまで親分を続けるという理屈もある」とも指摘する。 「ただ、(六代目山口組から)井上に対して『引退すれば命の保証はする』という話は出ている。この状況で引退したら命が惜しかったことになる。殺さないでおいてやるから、カタギになれという話を聞いてしまってからカタギになったら遅いということ。命が惜しいとなったら子分からも狙われる。だから引退できないのではないか」 勢力差が圧倒的となっても、神戸山口組の井上が組織の解散、自らの引退に踏み切らない背景事情があるのと表裏のように、今年で82歳になった六代目山口組組長の司忍についても「似て非なる事情がある」という。前出とは別の警察当局の捜査幹部が指摘する。 「六代目の司が後任に譲って『総裁』になるという一部の報道があった。年齢を考慮すればそういった考えもあるだろう。しかし、総裁を名乗って七代目体制に移行して自分は引退するとなれば、『分裂して出て行った神戸山口組の存在を認めるのか』ということになる。これは決して認めないだろう。六代目側からすると神戸山口組を解散させて詫びさせる。このような決着がなければ引けない。神戸山口組の勢力は小さくなっていくばかりだが、白旗を上げる気配はない。だからいつまでも対立状態は続くのではないか」 六代目山口組と神戸山口組の間で大規模な対立抗争事件は、最近は発生していない。しかし、今年1月には愛媛県四国中央市のスターバックスで、男性が拳銃で撃たれて殺害されるといった事件が発生した。殺人容疑で逮捕されたのは池田組のナンバー2・若頭の前谷祐一郎だった。被害者の男性は元池田組関係者で一時期、六代目山口組に籍を置いていたこともあったという。 前谷は自分自身も’20年5月、六代目山口組系組員に銃撃されて重傷を負ったことがある。スタバ事件の詳しい動機は不明だが、流れ弾が一般客に命中する可能性があり危険極まりない事件だった。勢力差が開いたとはいえ六代目山口組と神戸山口組の間で、いつこうした事件が再燃するかは不明だが、危険な状態が続いているのは間違いない。(敬称略) 取材・文:尾島正洋 ノンフィクション作家。産経新聞社で警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当しフリーに。近著に『俺たちはどう生きるか 現代ヤクザのカネ、女、辞め時』(講談社+α新書)。
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