「ポスト山本由伸」オリックス・斎藤響介が歩む“エース昇格ロード” 若手投手陣の台頭ぶりは今季も恐ろしい
支配下入りをかけた激しいサバイバル
さらに忘れてはならないのが育成組だ。今季5年目の左腕・佐藤一磨は、昨季のウエスタン・リーグで8勝を挙げ、阪神・秋山拓巳とともに最多勝に輝いた。2年目の才木海翔、4年目の川瀬堅斗、ウエスタンで5勝13セーブを挙げた2年目の入山海斗、トミー・ジョン手術から復活をかける2021年のドラフト1位右腕・椋木蓮ら、伸び盛りの若手がズラリだ。 キャンプインの時点で支配下選手が「63人」のオリックスは、7月末までには育成選手を採用できる最低条件の「65人以上」まで支配枠を埋めなければならない。 つまり、最低でも2枠、最大7枠になる“昇格枠”が設けられている。その競争は激しくなるばかりで、キャンプ初日のブルペンには、斎藤はもちろん、佐藤、才木、川瀬らが、それこそライバル心を露わに、全力ピッチを続けていた。 支配下入り、そして先発ローテ入りをかけた激しいサバイバル戦は、優勝チームの慢心など、どこにも感じられない。 「少しでも戦力になれるよう、頑張ります」 斎藤の誓いは、それこそ他の若手たちにとっても“以下同文”だろう。4連覇へ向け、そしてポスト山本の座を巡るオリックスの競争は、例年以上の激しさを見せている。 喜瀬雅則(きせ・まさのり) 1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ! プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(光文社新書) デイリー新潮編集部
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