irienchyがツアーファイナルで叫んだ「生きる大切さ」、熱く朗らかなロックスピリット
ハミ出し者一人ひとりに捧ぐ「最強のぼっち」
その後は、当たり前に思える日々の尊さを歌った「今日も同じ」、切なく甘酸っぱい片想いのストーリーが沁みる「ヒトミシリ流星群」と、アンサンブルが奥ゆかしいミディアムテンポのラブソングでもオーディエンスを魅了。 続いてのMCでは、新生活が始まる今の季節に想いを馳せつつ、人の顔色を窺って、面白くないときやしんどいときも笑っていた自身の過去について話す宮原。そして「お前はいいよな。何も考えんとヘラヘラしてて」と言われて悔しかったことを明かしながら、「(ここに集まっているのも俺と)同じような人が多いと思うっちゃ」「別にがんばらんでもいいけん、がんばれんときは」と博多弁を交えて語りかけ、清々しいサウンドと繊細な歌詞を溶け合わせた新曲「春は嫌いだ」へとエモーショナルに繋ぐ。弱さに寄り添う人柄がグッと滲み出る、こういうシーンも素敵だった。 本多が車移動で約5000キロを運転した話、4年ぶりに行なった福岡でのワンマンの話など、ツアーの思い出を和気あいあいとトークする時間も。そんな中、irienchyのライブに初めて来たお客さんもたくさんいることがわかって、メンバーはとても嬉しそうな表情を見せる。 あれよあれよという間に、ライブは終盤へ。ディスコ調の「ミラクルダンサー」でフロアにワイパーを巻き起こしたあとは、この日に突如リリースされたばかりの最新曲「キャンパスノート」を投下。これまで聴かせてきたセンチメンタルな質感に、ノイジーな音色やよりタイトなビートを掛け合わせ、作詞・作曲を手がけた諒孟が歌うパートも加えて、新機軸のオルタナティブを提示した同曲は、irienchyの世界観を押し広げるきっかけになるかもしれない。 クライマックスには、鉄板曲の「ドリームキラー」で今を生きる大切さを叫び、ここに集まった愛すべき“MISFIT”(ハミ出し者)一人ひとりに捧ぐ「最強のぼっち」を畳みかけ、4人も激しくヘドバンしてヒートアップ。さらに「ちょっとやってみたいことがあってさ」という宮原のひらめきから、冒頭のアカペラ部分を会場にいる全員でシンガロングした「メイビー」が届けられ、充実の本編を美しく感動的に締め括った。 「バンドをやっとってよかったなと思ってます」と、宮原がアンコールで感謝を伝える一幕も。「最後はおもいっきりバカになりたい!」と切り出し、本ツアーで初披露となった『MISFIT』の問題作「パオーン」へと突入する。ライブアレンジをふんだんに効かせた同曲では、メンバーそれぞれがサビメロを用いたオリジナルのコール&レスポンスを爆誕させ、本多がステージ前方でオーディエンスを煽ったり、諒孟が代わりにドラムを叩いたり、井口が「男子! 女子! 全員!!」とaikoばりの盛り上げにトライしたりと、予測不能のはっちゃけモードで大暴れ。 この4人でしか作れない楽しすぎるムードによって、フロアが理想的に沸き上がり、ラストは“あなたに会えてよかった”という喜びをまっすぐ歌う「バイバイ」を、全開のスマイルで気持ちよく演奏。大満足した様子のメンバーとファンの表情が見事にシンクロし、スタッフからお祝いのシャンパンも差し入れされ、記念撮影とともに自身最大規模のツアーは完走となった。 取材・文:田山雄士 セットリスト 01. スーパーヒーロー 02. 恋愛モヤモヤ物語 03. ライライライ 04. 藁人形の館 05. ne? 06. カレーなる休日 07. 今日も同じ 08. ヒトミシリ流星群 09. 春は嫌いだ 10. ミラクルダンサー 11. キャンパスノート 12. ドリームキラー 13. 最強のぼっち 14. メイビー <ENCORE> 01. パオーン 02. バイバイ <リリース情報> irienchy 1st Full Album 『MISFIT』 発売中 irienchy New Digital Single 『春は嫌いだ』 配信中 オフィシャルサイト x YouTube
Yuji Tayama