10年経過してもまだ生き残っていた!! 清水草一が絶滅のピンチに陥ったMTに抱いた回顧と展望
2011年、MT車の比率は1.5%にまで落ち込んでしまった。隔世の感ある状況に自動車評論家たちは当時どんな思いを抱いたのか?自動車評論家 清水草一の回顧と展望を取り上げる。(本稿は「ベストカー」2013年4月10日号に掲載した記事の再録版となります) 【画像ギャラリー】ついに販売シェアたった1.5%に…… 我が家からもついに消えてしまったMTに評論家が思ったこと(3枚) 文:清水草一
■1985年当時はMT車の比率はまた50%あった
うおおおおおおおおお! MT比率(下表)、涙なしには見られません。別に悲しいわけじゃなく、さまざまな思いが去来してしまいまして! 最も衝撃的だったのは、1985年当時はまだ、半分以上がMT車だったという事実です。28年前といえば、自分としてはついこの間のことだから! 私が免許を取ったのは1980年。まだAT限定などという情けないものもなく、教習車のセドリックはコラムMTだった。その直後に教習車がフロアMTになったと聞いただけで驚愕。 つっても当時すでにコラムMT車なんてほとんどなくて、なぜ教習車だけコラムMT?という状況だったんだけど。スイマセン、どうでもいいことばっかり思い出してしまいまして! さらにどうでもいいことですが、確か1975年、我が家に日産ローレルのAT車がやってきた時は、まだAT自体が珍しく、父の客人たちは皆、坂道発進にサイドブレーキが必要ないことに驚愕していた。 つまり歴史的転換点は、1980年代の10年間にあるとみていいだろう。1980年のAT車比率は恐らく2~3割。しかし10年後にはそれが7割超になっていたということじゃないか?おそろしいまでの勢いだ。 21世紀以降はもはや、MT車絶滅へのカウントダウンといった風情である。それにしても、2010年時点で2%を切っていたとは!まだ3%くらいはあると思い込んでいたのにぃ!
■MTはあと30年の命……かも。
今後MT車はどうなるのだろう? 私の予想では、1%台をキープしたまま、なんとかあと30年くらいは生き永らえると思う。ただ、反攻はないだろう。理由は、もはやATのほうが、速さでも上だから! 実は我が家も、フェラーリがセミATになったので、現在はMT車がない。それで寂しいという思いもない。 だって、458イタ~リアのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)は、MTよりはるかに気持ちイイんだもん!あの超速シフトチェンジ、パドルを引くだけでイキます!あんなもんが出てきたら、そりゃMTは勝てないヨ! ただ、男たるもの、まったくMT車の運転ができないというのは情けないという、古い固定観念も捨てられない。 だって、ヨーロッパでレンタカー借りる時困るじゃん! 「そんなの借りない」と言うかもしれないが、男たるもの、一度は欧州にてレンタカーの旅をしないのは人生の損失!とも思っている。 そのため息子には、「MT免許でなければ教習代は出さぬ!」と厳命。5速MTのド中古アルファ147も貸与してある。最低限の教育だけは施したつもりだ。 しかし、458イタ~リアのDCTを知ると、MTの歴史的役割は終了したと思わざるを得ません。無念だが……。