海の生物と特撮怪獣を比べてみよう! 福岡市のマリンワールドで特別展
福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」で、海の生き物と特撮怪獣のソフビ(ソフトビニール)人形が”共演”する特別展「いきものvs怪獣 すがた・かたちのインスピレーション」が開催されています。発案したのは学芸員の大西拓さん。特撮怪獣のソフビ人形を趣味で収集している大西さんは「怪獣のモチーフとなった生き物の姿を隅々まで見てほしい」と話しています。 【写真】特別展で楽しめる展示例
ソフビ好きの学芸員が発案!
アカエイやカサゴが泳ぐ水槽の隣に、特撮作品に登場する「宇宙エイ ボスタング」と「ピグモン」――。施設2階のマリンホールでは、トラウツボやワニガメなどを飼育する水槽9基とともに、怪獣のソフビ人形約430種類・1300体が展示されています。
水族館とは関係なさそうな展示ですが、海の生物をモデルに誕生した特撮怪獣は多く、「両者をじっくり見比べ、生き物の姿・形がどんな機能や働きにつながっているのかを考えてほしい」と企画しました。大西さんは「ずっとやりたいと思っていた企画。ようやく実現できました」と笑顔を見せます。
展示方法も特撮風にこだわり
展示方法にも大西さんのこだわりがあり、ヒトデを入れた水槽は、特撮作品の世界観を再現。水槽のガラス面に工場群を描いたシートを貼ったり、球形タンクの模型を置いたりして、ヒトデが工場地帯に出現した怪獣のように見える演出をしています。 会場には、背中を向けて並ぶソフビ人形もあります。魚の背びれなどを連想させる、怪獣の背中や尾っぽの形状をよく見てもらおうとの狙いからです。
大きなはさみをもつアメリカンロブスターの水槽のそばには、はさみのような手が特徴的な「バルタン星人」などを展示。「怪獣のはさみの形が異なるように、はさみを持つ生き物もそれぞれ機能や使い方が違うことに注目するとおもしろいです」と大西さん。「アメリカンロブスターは左右ではさみの役割が異なるんですよ」
「平成・令和篇」と「昭和篇」で
普段の大西さんはマリンワールドで企画広報と教育を担当する係長。水族館バックヤードツアーの案内役なども務めています。 怪獣のソフビ人形を集め始めたのは25年ほど前から。子どもの頃を思い出して「イカルス星人」を購入したのがきっかけで、今では約4000点を所有するまでに。多くは衣装ケースなどで保管しており、「これだけの数を並べたことはありません。なんだかコレクション展みたいですね」と苦笑いします。