『幽☆遊☆白書』飛影はもはや別人! 実写版でも気になる“キャラ変”のビフォーアフター
『週刊少年ジャンプ』(集英社)の大人気漫画『幽☆遊☆白書』の実写ドラマシリーズが、12月14日からNetflixで配信される。これまで解禁されている情報から察するに、今回は原作序盤の「霊界死闘編」及び「霊界探偵編」の実写化となるようだ。 【写真】本郷奏多が演じる実写版『幽☆遊☆白書』飛影 そこで注目したいのが、人気キャラクター・飛影をめぐる「キャラ変」の様子。というのも序盤に出てくる飛影は、現在の世間的なイメージからかけ離れた言動をとっていたからだ。どれほどの変化を遂げているのか、この機会に原作とTVアニメ版の描写を振り返ってみたい。 飛影が初めて登場したのは、主人公・浦飯幽助が霊界探偵となってから最初の事件。霊界から3つの邪宝を盗み出し、人間界にやってきた極悪妖怪盗賊団のメンバーとして蔵馬、剛鬼と3人組を結成していた。 しかし蔵馬は人間の母親のために盗んだ邪宝を使おうとする良い妖怪であり、このメンバーから足抜けしようとする。そこで3人の話し合いが紛糾するのだが、飛影は感情をあらわにして蔵馬に激怒。「腰抜けめ 人間界に潜伏するうちに その生活にどっぷりはまり込んでしまったらしいな」などと罵倒する。 なお、TVアニメ版では声優・檜山修之が飛影の声を演じており、「どういうことだ蔵馬! まさか仲間を抜けるってわけじゃないだろうな」「腰抜けめ!」と早口で捲し立てる様子が表現されていた。感情に任せて怒りをぶつけるその姿は、後の飛影のクールなイメージからは想像もできない。 その後のエピソードで描かれたバトルシーンでは、“小物”描写がさらに加速。幽助の幼なじみであるヒロイン・雪村螢子を誘拐し、人質とするという外道な手段に頼っていた。さらに交換条件で螢子を返したように見せかけつつ、自分の手下の妖怪となるよう改造していた……という策略まで見せ付けている。 飛影といえば、圧倒的な力で相手を蹂躙するダークヒーローのイメージがあるが、幽助と戦った時点では、いかにも主人公にあっさり成敗されそうな小賢しい悪役だったのだ。怒りでパワーアップした幽助に思わぬ一撃を食らい、「まるでさっきとは別人だ……貴様は一体!?」と冷や汗を垂らす場面も、かなり小者っぽい。 さらにその後、飛影は全身に目が生えた異形の姿に変身。邪眼による呪縛の力を増幅し、動けなくなった幽助をなぶるという卑劣な戦法をとる。なお、このフォームは原作ではその後一切登場せず、実質的に“なかったこと”になっているため、一種の黒歴史と言えるかもしれない。 作者・冨樫義博の発言によると、当初味方にすることを決めていたのは蔵馬だけであり、飛影については未定だったという。もしかすると、飛影が小者妖怪として序盤であっさり退場していた可能性もあったのかもしれない。 飛影が仲間になることが確定したのは、「四聖獣」との戦いを描いたエピソードだが、この時点で大きくキャラクター性が変わっている。まず飛影は雑魚敵に囲まれていた幽助たちを助けるため、蔵馬と共に颯爽と登場。ここでアニメ版では、原作にはないオリジナルのセリフとして、「こんな奴らに手こずっているようじゃ、お前たちの力も底が知れてるな」という一言を放っており、クールな雰囲気を漂わせていた。 そしてその後は、4人の妖怪のうち青龍との戦闘に臨むのだが、そこで人格に大きな変化が起きる。直前に敗れた白虎がボロボロの姿で現れ、青龍が容赦なくトドメを刺すと、極悪非道だったはずの飛影が白虎の亡骸に自分のマントを被せてやるのだ。 以前とははっきりと違う様子に、蔵馬は「初めて見る飛影だな」という言葉を漏らし、戦闘終了後には「彼はここにきて変わりつつある。少しずつキミ(幽助)に惹かれているようだ」とも評していた。読者目線で変化があっただけでなく、実際に作中でも精神的な成長を遂げていたようだ。 ちなみにアニメ版の放送が始まった1992年頃は、原作で飛影が大活躍していた「暗黒武術会編」の真っ最中。当時アニメをきっかけに原作に触れたファンのなかには、あまりに大きなギャップに困惑した人もいたかもしれない。 実写版『幽☆遊☆白書』では、今や伝説になりつつある“初期飛影”が見られるのか、それとも世間的なイメージに近いクールなキャラクターとして登場するのか……。その活躍を見るのが今から楽しみだ。
キットゥン希美