【遠方に住む親の介護】仕事を辞めて同居介護するべきでしょうか?
地方から都市部に出て働き始め、そのままその地に定住するという方は多くいらっしゃるでしょう。そのようなケースで遠方に住む親が介護状態となった場合、実家に戻り同居して介護しなくてはならないのでしょうか。仕事をしながら、自分の家庭を維持しながら介護をする方法を探ります。
突然親が倒れて介護が必要になったら
元気だと思っていたひとり暮らしの親が倒れて入院、退院はできるけれど介護が必要になると言われたら、どうしてよいか分からなくなることでしょう。親に「住み慣れた土地を離れたくない」という思いが強く、親の介護は家族が担うものと考えているのであれば、仕事を辞めて親と同居する選択が最善と考えるかもしれません。 しかし、自身の生活を犠牲にすると、最初はうまくいってもしだいにストレスで消耗するようになり、介護がつらくなることが心配されます。 すぐに仕事を辞めようと考えてはいけません。介護は、どれだけ続くか分かっていればそれに応じて注力できますが、最初にどのくらいの期間になるか読めないのが難しいところです。生命保険文化センターの調査によれば平均が約5年ですが、10年以上続くケースも17.6%ということです。
仕事を辞めて収入がなくなれば貯蓄を切り崩すことになるので、介護が長引けば生活が苦しくなるかもしれません。また、自分の将来の年金も減ってしまいます。介護が終わった後に、望むような仕事が見つかる保証もありません。 仕事を続けながら、仕事と両立できる遠距離介護を検討してはいかがでしょうか。まずは遠距離介護でやってみて、それでは無理だと感じたら、改めて同居を考えても遅くはないはずです。
遠距離介護を始めるには
「遠距離介護」とは、離れたところで暮らしながら、親の日常生活をサポートする介護のことです。介護保険サービスや自治体独自のサービス、民間のサービスなどを利用して親が不安なく暮らせるような環境を子どもが整えます。 実際に介護をするのはプロに任せ、子どもが定期的に帰省して、通院の付き添いや他人には任せられない家事など、家族でしかできないサポートを行います。 介護の必要を感じたら、できるだけ早い段階で地域包括支援センターに相談しましょう。介護を始めるにあたって分からないことの相談や、介護保険サービスを利用するために必要な手続きのサポート、ケアマネジャーを探すなど、介護環境を整えるための手伝いをしてもらえます。そうして要介護認定を受けたら、ケアマネジャーと相談しながら介護の環境を整えます。 もう1つ必要になるのは、仕事と介護を両立するために介護休暇や介護休業などの制度を知り、利用できるようにしておくことです。「介護休暇」は対象となる家族が1人の場合は年5日まで利用できます。 「介護休業」は対象となる家族1人に通算93日まで、最大3回まで分割して取得できます。条件を満たしていれば介護休業給付金を受け取ることもできます。介護休業はまとまった日数が取れるので、親が安心して暮らせるような介護の環境を整えるために利用するのがよいでしょう。 この他にも会社の支援制度があるかもしれません。自分は「正社員ではないから無理」とあきらめてしまう人がいるかもしれませんが、介護休暇や介護休業は法律で定められた制度なので、パートやアルバイトだと利用できないという決まりはありません。まずは会社で相談してみましょう。