宇宙で核兵器使用の恐れ?世界が年間2500機、2023年には6万機を投入、産業・軍拡競争におよぶ覇権争いの行方
2月14日付のワシントン・ポスト紙は、宇宙空間における軍備拡張競争の中で、ロシアは威嚇攻撃を開始したとするデイヴィッド・イグネイシャスの記事を掲載している。 ウクライナ戦争は、スターリンクその他の宇宙空間に広がる通信諜報網の軍事利用の有用性を実証した。現在、ロシアは新たな宇宙戦争技術を駆使して、敵の通信諜報網を無力化する兵器の開発を進めている。 ロシアの宇宙兵器技術開発は、2月14日に下院情報委員長のマイケル・ターナーが繰り返し述べた通り、 「深刻な国家安全保障上の脅威」となっている。ロシアの現在の能力は米国に差し迫った脅威ではないと言う者もいるが、ターナー委員長がロシアの攻撃計画に焦点を当てて指摘した結果、ウクライナへの追加の軍事支援の議会承認は加速する可能性がある。ロシアに新たな宇宙戦技術の開発を急ぐ契機を与えたのは、2022年のロシアによる猛攻撃の開始の初期段階において、キーウが生き残る上で宇宙システムに負うとこ ろが大きかったことにあるようだ。 スターリンク等の宇宙システムにより、ウクライナは電子戦管理システムを構築することができた。商用衛星群は、光学センサー、熱センサー等を駆使して情報を収集できる。その情報は人工知能によって分析され、破壊効果の高い標的を特定し、その標的情報はスターリンク等のブロードバンド回線を通じて前線のウクライナ軍に送信されている。 ロシアは、宇宙空間において指向性のあるエネルギー兵器や電磁パルスを使用し、商業ネ ットワークや軍事ネットワークを無力化する計画を有している可能性がある。このロシアのシステムは、例えば、スターリンクをはじめとするさまざまな企業がデータを地上に送信する前に衛星間で信号を交換する「メッシュ・ネットワーク」を攻撃してくる可能性もある。
21年、ロシアは周回衛星を撃ち落とす対衛星攻撃兵器の実験を行った。これによりロシアは、理論的には、 衛星攻撃のために一群の原子力兵器を発射し、宇宙空間内に立ち入り禁止区域を設定することさえできる。しかし、ロシアのそのような行動は、宇宙での核兵器使用を禁止する条約に違反するのは無論だが、自らの破滅にも繋がるものである。 米国は、宇宙空間で絶妙な機能を発揮する一群の諜報・軍事システムを保有している。しかし、それらの卓越した機能を有するセンサーや技術装置は、少数の衛星群の中に配備されている。 それらの衛星群は、敵の恰好の餌食になる。よって米国は、さらに多くの小型衛星を用いて「より抗堪性の高いシステムを構築する必要がある」と、21年、当時宇宙軍長官だったジョン・レイモンド大将は述べた。技術が進化するにつれて、スターリンクなどの営利企業は5000 個以上の衛星を用いるようになり、攻撃により破壊され尽くされにくいシステムを開発している。 ウクライナは、スターリンク端末への接続が可能となったお蔭で、21 世紀 の「アルゴリズム戦争」を戦うための手段を得た。ロシアは宇宙空間から発信されるデータを妨害したり、なりすましによる妨害を試みたりしたが、スターリンクの エンジニアはデータの流れを維持する独創的な方法を見つけた。 * * *