大半は空き店舗で老朽化した商店街、倒壊も起きたのに…連絡つかない所有者多数で解体進まず
市が昨年9月から行ってきた意向調査では、所有者の多くが市に建物を取り壊してほしいとの考えを示した。市は「民間の土地・建物であり、原則は所有者たちで解決してもらう」とする一方、「所有者の理解を促してサポートしていく」とも話し、解体や修繕の促進などに向け、所有者との勉強会も開いている。
昨年4月の民法改正では、所有者の分からない土地や建物でも裁判所の関与の下、利害関係者らが利用や処分を円滑に進められる内容が盛り込まれており、こうした制度などを説明している。
「安全性を優先」
一部の所有者の間では、土地や建物を不動産業者に売却し、建物が解体される動きも出ている。今年5月に2店舗(3区画)、今月にはさらに1店舗(1区画)で解体が行われた。
今年4月まで営業していた男性(81)の食料品店は5月以降に解体された店舗の一つだ。店は60年以上続いたといい、「まだ続けたかったが安全性を優先した。これ以上無理をして、歩行者など他の人に迷惑をかけたくなかった」と男性は話す。その上で「商店街として復活するのは無理だろうが、思い出がある土地が何らかの形で有効活用されたらうれしい」と語る。
清山知憲市長は6日の定例記者会見でセンターについて問われ、「老朽化した建物の危険性や、街なかに立地するあの土地の価値を鑑みて、市としては積極的に関与していきたいと思っている」と述べた。所有者不明の区画の管理などについては「市として何ができるのか検討している。なるべく早期に対応できるようにしたい」としている。