運転免許手放した高齢者の代替移動手段として期待 電動シニアカーの注意点 「車」だけど「歩行者」扱い、事故の危険も
■加害者にも…
警察庁によると、電動車いすが絡む事故は全国で発生しており、2012~16年の5年間で34人が死亡、883人が負傷。とはいえ、これは氷山の一角。歩行者扱いのため、単独事故や歩行者との衝突事故などは統計に含まれていない。 大きな段差でバランスを崩して転倒する、踏切内で列車と接触する、歩行者やベビーカーと衝突するといった事故が起きており、安全普及協会の事務局を担当する疋田智之さん(55)は「重い電動車いすに乗っていることを忘れずに、安全に配慮する必要がある。加害者になり得ることも自覚してほしい」と警告する。 人が多いショッピングモールなどの商業施設内で利用する場合、速度を遅くするといった配慮が必要だ。安全普及協会は、踏切や交通量の多い場所、夜間や悪天候時の利用を避けるよう呼びかけている。飲酒後の利用も控えるべきだ。 電動シニアカーは運転免許を手放した高齢者の代替移動手段となる。九州スズキ販売の須賀さんは「ルールやマナー、ちょっとした注意を守れば、十分に安全な乗り物です。便利な移動手段として多くの高齢者に使ってもらえれば」と話している。