「エヴァンゲリオンはロボットじゃなくて人造人間」←いや、ロボットでもあるだろ! ファンでも分かれる解釈
エヴァはロボットでもある?
マグミクスで「『エヴァンゲリオンは巨大ロボットじゃない?』 多くの人が勘違いしている初号機の正体」と題した記事を配信したところ、読者から「ロボット」の定義自体を問い直す興味深い指摘が相次ぎました。 【画像】うわっ、エグい…こちらが皮膚や筋肉がまる見えの「エヴァ初号機」です 元記事では、アニメ『エヴァンゲリオン』未見の読者に対し「エヴァンゲリオンを単なる『巨大ロボット』と認識しているのは少し単純過ぎるのかもしれない」として、エヴァンゲリオンが通常のロボットとは異なる特徴を持つことを解説。筋肉や神経を持ち、戦闘で損傷を受けると出血する生命体としての特徴や、パイロットとの接続方式の特殊性など、「巨大ロボット」という分類だけでは説明しきれない独自の性質を持つことを紹介しました。 読者からのコメントで注目を集めていたのは、「ロボット」という言葉の語源に関する指摘です。「ロボットという語の初出となるカレル・チャペックの『R.U.R』では、ロボットとは『工業的に大量生産される生体部品から組み立てられる自律的意思を持った作業機械』でした」というものです。この定義に従えば、「エヴァンゲリオンは原義的に正しい『戦闘用巨大ロボット』」という逆説的な結論が導かれます。 他作品との比較による考察も目立ちました。「ダンバインでは甲殻獣などの外骨格や筋組織を使ってオーラバトラーを製造しているわけだが、カテゴリーとしてはロボット兵器だ」という指摘に、多くの読者が賛同。日本のロボットアニメには生体と機械の融合という要素が珍しくないという見方が示されました。 一方で、エヴァンゲリオンを他のロボットと区別する声も。「エヴァは根本的に違う。使徒ってロボット?と聞かれてYESと答える人はあまりいない」というコメントが示すように、使徒は人類とは異なる可能性を持った存在であり、エヴァはその使徒のコピーとして作られた生命体という解釈が示されました。これは、エヴァを機械的な存在ではなく、装甲(鎧)を着た人間的な存在として捉える視点といえます。 興味深いのは世代による認識の違いです。TV版をリアルタイムで視聴した世代からは「第1話でリツコが『凡用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン』と明言している」として、エヴァファンであれば「人造人間であることは常識」としています。一方で、近年アニメを視聴し始めた世代からは「巨大な人型兵器といえばエヴァ」という感覚が定着しているようで、世代によって作品の捉え方に大きな違いが見られます。 議論を複雑にしているのが、庵野監督自身の発言です。「庵野監督も『エヴァはロボットアニメ』と言っている」というコメントに対し、「エヴァ自身がロボットかそうでないかはさしたる問題ではなく、少年が得たいの知れないものに乗せられて戦う、その物語としての構造はまったくもってロボットアニメ」という解釈も示されました。 さらに、ゲームやアニメのクロスオーバー作品では「巨大ロボット」のひとつとして扱われることも多く、作品の設定と、メディアミックスでの位置づけの違いを指摘する声も目立ちました。「作中では明確に人造人間と説明されているのに、他作品との共演では普通にロボットとして扱われている」というコメントは、この作品の特異な立ち位置を表しているようです。 機械でもあり生命体でもある。ロボットでもあり人造人間でもある。エヴァンゲリオンという存在は、単純な定義を拒み続けているのかもしれません。そして、その両義的な性質こそが、作品の魅力のひとつにもなっているように思えます。
マグミクス編集部