海外メディアは東京五輪の延期、中止に言及しないIOC会長を「考慮すべき」と批判。一方「中止は起こりえない」の声も
新型コロナウイルスの拡大による影響で東京五輪の開催を危ぶむ声が出ているが、海外メディアも、この問題に関して注目。IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が、「IOCは東京五輪を素晴らしい大会にするために全力で取り組んでいる」とコメントしたことや、古参委員であるディック・パウンド氏、大会調整委員会のジョン・コーツ委員長が「開催の是非は3か月以内に判断」などの発言を報じて、それぞれの見解を伝えている。 米の経済誌であるフォーブス誌は「IOCは、新型コロナウイルスによる東京五輪の中止か延期を考慮しなければならない」とのショッキングな見出しを取った。 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「この段階で、すべての主要組織は最悪の事態に備え始めることが必要だ」と主張。「国際オリンピック委員会(IOC)は(そうした立場には)入らないらしい」と皮肉をこめて、IOCのバッハ会長が、日本の報道陣との電話インタビュー取材に際して、パウンド氏、コーツ氏の発言の真意や、日程変更などを問う質問について、回答をはぐらかして、明確に答えなかったことを「こういう思い上がりが、(選手らの)生命を危うくすることになる」と批判した。 さらに「IOCは夏季五輪の中止か延期に関する問題を考えたくないのかもしれないが、可能性として考慮に入れなければならない」と指摘。 「新型コロナウイルスには、世界的な大問題に発展する恐れがあり、東京五輪まで、まだ5カ月あるとはいえ、対応できる策は議論されなければならない。代替策が魅力的でないとはいえ、五輪選手と、参加者の健康と安全を危険にさらすより悪いことはない。このケースでは知らぬが仏とはいかない」と警告した。 英国BBCは、新型コロナウイルスが、ラグビーのシックスネイションズやF1などのスポーツイベントにどんな影響を与えているかについて特集し、その中で東京五輪についても触れ、「2020年東京五輪の組織の人たちは、3月26日に日本列島でスタートする聖火リレーの規模は縮小するが、イベントを中止するための議論は行わない」と批判した。 その中で、IOCメンバーであるディック・パウンド氏の「新型コロナウイルスが深刻な流行に発展した場合は、主催者が『不本意ながら』五輪大会をキャンセルしなければならないだろう」というコメントを紹介。さらに5つの五輪金メダルを誇るオーストラリアの水泳界のレジェンド、イアン・ソープ氏の「一番気かがりなことは選手だ。選手たちは、彼らの健康をかけてまで五輪の夢に身を置くべきではない」という声を紹介した。