木村昴、初主演ドラマ『クラ好き』でエンターテイナーの真価を発揮? “身体の芝居”に期待
アニメ『ドラえもん』のジャイアン役の声優として知られる木村昴が、なんとテレビドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)で主演を務める。 【写真】『クラ好き』木村昴×新川優愛ビジュアル 同作は、賀来賢人が主演を務めたドラマ『死にたい夜にかぎって』(MBS/TBS)の原作者・爪切男による同名エッセイを原作としたもの。これは筆者としては非常に期待できる組み合わせだ。その理由をここに述べていこう。 冒頭に記しているように、木村といえばジャイアン役の声優として知られている。というかもはや、「ジャイアンといえば木村昴」というのが世間一般の認識だろう。『ドラえもん』といえば日本が誇るビッグコンテンツ。メインキャラクターのひとりであるジャイアンについては、知らぬ者のほうが少ないのではないだろうか。1979年から続く放送のうち、木村は2005年から“2代目ジャイアン”を務めている。 『呪術廻戦』、『東京リベンジャーズ』、『遊☆戯☆王』などといった人気マンガが原作のアニメや、『ピンポン THE ANIMATION』(フジテレビ系/2014年)、さらには空前のブームを巻き起こした『THE FIRST SLAM DUNK』(2022年)などでも木村は重要な役どころを務めているが、それでもやはり20年近く続けているジャイアン役の印象が強いのは当然といえば当然なのかもしれない。 このように声優として幅広い活躍を繰り広げる木村だが、昨年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)では徳川家の家臣・渡辺守綱を演じ、そのコミカルな演技が長期にわたって物語を盛り上げていたことが記憶に新しい。その前年には『鎌倉殿の13人』にも姿を見せているし、そもそも彼は2009年から2023年まで、「天才劇団バカバッカ」という劇団を主宰していた。いまでも声優活動のほうが顕著なわけだが、そう、木村は俳優なのである。
木村昴、『クラスメイトの女子、全員好きでした』では“冴えない小説家志望の男”に
そんな彼が主演を務める『クラスメイトの女子、全員好きでした』が描くのは、他人の欠点に惹かれてはすぐ恋に落ちてしまうダメ男が、超個性的なクラスメイトの女子たちへの片思いを重ねながら成長していくさまだ。 木村が演じる枝松脛男は、冴えない小説家志望の男。しかし彼は偶然手に入れた小説を盗作したことで、一躍人気作家になってしまう。新川優愛が演じる担当編集者の片山美晴とともに、枝松は真の作者を探すため奮闘することになるわけだ。そこでカギを握るのが、なぜか枝松が中学時代に恋をしたクラスメイトの女子たち。つまり本作は、彼女たちとの思い出を枝松が回想するかたちで進んでいく。 原作エッセイの“まえがき”は、「おまえは、女の子と恋はできないだろう」という一文からはじまる。これは著者が父親から言われた一言らしい。ただしそれは、見てくれではなく内面に目を向けられる、大人になるまでの期間のことだと。そこで彼は「恋ができない僕は、みんなが恋をしているときにどうしたらいいの?」と問い、父は「そうやな、“覚えろ”」と答える。女の子たちとの記憶が、いつか大切な宝物になるのだとーー。そうして、恋した女子たちに関するエピソードが1話ずつ展開していくのだ。 今回のドラマでは、“憧れのあの子とキスをするため、ベルマークを1,000枚かき集めたこと”や、“プロレスラーを目指すあの子のため、ジャイアントスイングの練習台になったこと”、フランスから転校してきたあの子に、日本のお菓子を食べさせようと奮闘したこと”などが語られるようだ。どのエピソードもユニーク(原作はある意味もっとハードなので、どこまで描かれるのか期待大)。これらの物語に木村は飛び込んでいく。 木村が“声の芝居”だけで魅せられる存在だというのは周知の通り。注目すべきポイントは、“身体の芝居”でどこまで魅せてくれるのだろうかということだ。平成が生んだ稀代のエンターテイナーの真価が、ここで明らかになるかもしれない。
折田侑駿