「女性がコメディアンできる時代で良かった!」…下品すれすれのジョークで勝負するニッキー・グレイザーとは?
<ストレートで耳に痛い真実を笑いに変える、スタンダップコメディアンのニッキー・グレイザーは実は「スウィフティー」>
人を怒らせる笑いは決してやりたくない、とスタンダップコメディアンのニッキー・グレイザーは言う。「不快なセリフや卑猥な言葉は絶対言いたくない。それだと意図的にお客を怒らせる一部のコメディアンと同じだから」 【公式動画】ニッキー・グレイザーの「キュートな姉御」コメディ 代わりにケーブルテレビ局HBOのコメディー特番『サムデイ・ユール・ダイ』では、「真っすぐで本気でおかしくて、正確でキツいジョーク」を全編にわたりぶつけた。 笑いのネタは、独特のグレイザー流で語られるおなじみのテーマ。セックス、女性であること、そして「本当の自分でいたいけれど、他人の求めに合わせて自分を型にはめる」ことへの葛藤──。 彼女は、子供や家庭など多くの女性が期待されるものは望まない。「子供を欲しがるのは自己愛の表れだと思う。それはそれでOKだけど」 ケーブルテレビ局CWのリアリティー番組『Fボーイアイランド』の人気司会者でもあるグレイザーは、コメディーに使うネタを追求できるのは幸運のおかげだと自覚している。 「本当にラッキーだった。10年遅く生まれていたら、きっとYouTubeやTikTok(ティックトック)では成功できなかった。私はそんなに頭がよくないと思う」。本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。 ──今回の特番について。 私のユーモアセンスが完璧に表現できた。ストレートで耳に痛い真実がたくさんある。この特番は40歳を目前にして、それを理解しようとしている私そのもの。高校時代の憧れだった女の子に、どうしてまだなれないのかとか。 ──あなたのポッドキャストは、スタンダップコメディーの延長のようで楽しい。 あれが素の自分に一番近い。笑わせようとしてないし、演技もなし。YouTubeにアップされた映像が信じられないくらい、腫れぼったい顔でノーメークで、誰か分からない。あのポッドキャストが本当の私。特番はそれにジョークを足しただけだと思う。 ──下品ではない性的なユーモアを表現できたと思う? 誰でも、女性でもスタンダップができる時代に生まれてラッキーだった。これまでのコメディーとは違うやり方で、セクシャルなネタを披露できたと感じてる。ほとんどの人が自由に話すことができないセックスについて、自由に話せる私は運がいい。 ──昨年はテイラー・スウィフトのライブに通ったとか。 彼女は私の生活の一部。私のアイデンティティー。コメディアンや女性であることより、スウィフティー(スウィフトのファン)であることのほうが私には重要かも。
H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)