【高校野球】星稜の左腕、佐宗翼は人生初被弾も96球で完投勝利…チームは県、北信越で20連勝
◆春季北信越高校野球大会 ▽1回戦 星稜4-1富山商(1日・富山市民) 星稜(石川県1位)は、4-1で富山商(富山県1位)に勝利し、準決勝進出を決めた。エースの最速143キロ左腕、佐宗翼(3年)が先発し、切れのある変化球を武器に、わずか96球で完投勝利した。佐宗は「テンポの良い投球を意識し、球数を少なくできました。得点がなかなか入らず、最後まで投げる気持ちでした」と明るい表情を見せた。 “人生初被弾”にも、決して動揺することはなかった。ランニングホームランを除き、小、中、高校を通して公式戦でホームランを打たれた経験は無かったが、8回二死で富山商の代打、斉藤樹之(2年)に甘く入ったスライダーを左翼スタンドに運ばれた。「カウントを取りにいって捉えられた。反省点です」と声を落としたが、安定した投球を継続。「今まで打たれてカッとなり、力んでしまうこともあったが、気持ちは平常心でギアを上げました」と佐宗。その後は無安打で試合を締めくくった。 数字に頼ることなく、投球感覚を磨いてきた。チームの投球練習では、球速、回転数、回転軸などを測定器で測って参考にする選手も多いが、毎日のキャッチボールなどの基本練習を重視。「自分のボールの回転数はわかりません。球速には出ていないかもしれませんが、目に見えない感覚を追求し、より精度を上げることを意識しています」。この日も抜群の制球力を駆使し、打たせて取る省エネ投球を見せつけた。 チームは安定した投手力と守備力を発揮し、県大会、北信越大会では20連勝を達成。「力配分がうまくできたので、疲れはたまっていない。出番があれば、しっかりと自分の仕事をしたい」と佐宗。成長を続けるエース左腕が、北信越の頂点に向けて感覚を研ぎ澄ませる。(中田 康博)
報知新聞社