尊敬する先輩から学んだ「振る舞い方」 東日本インカレ連覇の日体大・折立湖雪、自身の得点だけでなく仲間の好プレーにも笑顔
決勝の舞台で「めちゃくちゃ意識」した再戦が実現
決勝にはもう一つ、特別な感情を抱いて臨んだ。対戦相手である青山学院大学のコートに、旧友の佐村真唯(3年、東九州龍谷)がいたのだ。「めちゃくちゃ意識しました」。2人は中学3年時にJOCジュニアオリンピックカップで福岡県選抜のダブルエースとして活躍。東九州龍谷でも二枚看板を張り、1年時は全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)優勝に貢献した。 決勝の前日、対戦が決まった直後に折立がLINEで「よろしく」と送ると、佐村から「こちらこそ、相棒」と返信が来た。 高校時代はプレースタイルが似通ってしまうほど多くの時間を共有し、ともに汗を流したまさに〝相棒〟。大学で別々になってからも頻繁に連絡を取り合っているといい、折立は「対戦するときはバチバチですけど、今でも仲が良いです」と話す。そして佐村に対し「周りの選手を引っ張れる選手で、人に信頼される人間性がある。現に今大会も青学を決勝まで連れてきた」と敬意を表す。 今春のリーグ戦で青山学院大と対戦した際は佐村が得点を量産した一方、折立は「『負けたくない』と力が入りすぎて、何もできなかった」。チームもフルセットの末、敗戦。今大会の決勝でも佐村のスパイクが脅威になった。折立は「絶対に青学に1点を取らせたくない場面で(佐村が)取ってくるので、イライラしますね」と笑いつつ、ライバル心を燃やして対峙(たいじ)。巡ってきた再戦の舞台でリーグ戦の雪辱を果たした。2人の切磋琢磨(せっさたくま)はこれからも続く。
「守備でも攻撃でも」引っ張れる選手を目指して
日本体育大の次なる目標は秋季リーグ戦制覇。またその先には、昨年は3回戦敗退に終わった全日本バレーボール大学女子選手権大会(全日本インカレ)で日本一になるという目標がある。 春季リーグ戦は石倉が抜けた後のポジションに入ったことで、「自分がやらないと」とプレッシャーを感じすぎたという折立。「今大会の結果で満足せずに、今回できなかったことをリーグ戦でできるよう練習する。オールラウンダーとして活躍して、守備でも攻撃でももっと引っ張っていけるような選手になりたい」。殻を破り、1年前と一味違う優勝を成し遂げた経験を、秋につなげる。
第43回 東日本バレーボール大学選手権大会(女子花巻大会)決勝
6月22日@花巻市総合体育館(岩手) 日本体育大学 3-0 青山学院大学 (25-21.25-22.25-22)
川浪康太郎