退職金「1500万円」と「2000万円」の手取りの差は「500万円」ではない!? それぞれいくら引かれているの? 勤続20年のケースで試算
「退職金」は定年後の生活資金やローンの返済などに充てることができるので、いくら受け取れるのかは労働者としては気になるところです。企業によっては1500万円や2000万円という大金を受け取れる場合もあります。しかし、退職金にも所得税を支払わなければいけないので、額面通りに受け取れない点に注意が必要です。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 本記事では、退職金の手取り額について解説していきます。退職金が額面で1500万円の場合と2000万円の場合でいくら違うのかの比較もするので参考にしてください。
退職金の手取り額の計算方法
退職金は受け取り方で退職所得となるか雑所得となるので注意が必要です。一時金として受け取った場合は退職所得、年金のように毎年受け取る場合は雑所得となります。一般的なのは一時金として受け取る方式です。そこで本記事では退職金を一時金として受け取ることを想定して計算していきます。 退職金を退職所得として計算する場合、退職所得控除を受けられます。退職所得控除の計算式は勤続年数によって異なるので覚えておいてください。勤続年数が20年以下の場合は「40万円×勤続年数」、勤続年数が20年を超える場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。 ■勤続年数15年で退職金が1000万円だった場合 勤続年数が15年で退職金が1000万円だった場合は40万円×15年なので600万円が退職所得控除です。 退職金の課税所得は「退職金-退職所得控除額×1/2」で求められることから、1000万円-600万円×1/2となり、200万円となります。200万円の場合の所得税率は10%で、さらに9万7500円が控除されるので「200万円×10%-9万7500円」となり、10万2500円が所得税です。最終的に、989万7500円が手取り額になります。 ■勤続年数25年で退職金が1000万円だった場合 また、勤続年数が25年で退職金が1000万円だった場合は800万円+70万円×(25年-20年)で1150万円が控除額です。そのため、この場合は退職金が全額控除されるので、手取り額は額面通りの1000万円になります。このように勤続年数が20年を超えると退職所得控除も大きくなるので手取り額が減りにくい点が特徴です。