IMF、米国への警告を強化-支出と債務の膨張を指摘
(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は16日、先進国の中で最近際立っている米経済の好調は、持続不可能な財政政策によってもたらされている部分があると指摘し、米国の政策を異例なほど直接的に批判した。
IMFは最新の世界経済見通し(WEO)で「米国の最近の並外れたパフォーマンスは確かに印象的であり、世界経済の成長の主要な原動力となっている。しかしそれは、長期的な財政の持続可能性を逸脱した財政スタンスなど、強力な需要要因も反映している」と分析した。
さらに、米政府の過剰支出はインフレを再燃させ、世界的な資金調達コストを上昇させることで、世界の長期的な財政・金融の安定を損なうリスクがあると警鐘を鳴らした。
IMF「何かをあきらめなければならない」と警告している。
米国の財政赤字はここ数年、新型コロナウイルス禍関連の景気刺激策やインフラおよびクリーンエネルギーへの積極的な投資、金利コストの急上昇によって拡大してきた。米議会予算局(CBO)によると、政府債務残高は2033年までに45兆7000億ドル(約7052兆円)、対国内総生産(GDP)比114%と、23年末の97%から拡大すると予想されている。
イエレン米財務長官はこれまで、高まる懸念の打ち消しに努めてきた。同長官は繰り返し、債務の持続可能性はインフレ調整後のGDPに占める債務返済コストの割合で測るのが最善だと述べている。ホワイトハウスの予測によれば、今後10年間、実質純利払い費はGDPの2%を下回る見込み。
しかし、金利が高止まりした場合、この予測は脆弱(ぜいじゃく)になるとイエレン長官は認めている。
原題:IMF Steps Up Its Warning to US Over Spending and Ballooning Debt(抜粋)
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Christopher Condon