関水渚「役の1番の味方でありたい」芝居へのこだわり:インタビュー
女優の関水渚が、MBSドラマ特区『彼女と彼氏の明るい未来』(MBS 1月11日から毎週木曜 24時59分~)に出演。過去にトラウマを抱えるヒロイン雪歌を演じる。同作は谷口菜津子氏が原作で、Amazonオリジナルドラマ「モアザンワーズ/More Than Words」など手がける橋爪駿輝監督がメガホンをとり実写化。過去を見ることができるVRマシーンで、青山一郎(演・末澤誠也/Aぇ! group)が雪歌の過去を見てしまったところから物語はスタートする。幸せだった2人の間に溝が生まれはじめ、葛藤していく模様を描く。インタビューでは、雪歌を演じて幸せだったと語るその真意から、いま役者として追求していることについて、話しを聞いた。【取材・撮影=村上順一】 【写真】関水渚、撮り下ろしカット ■幸せな日々が終わっちゃうんだと涙が止まらなかった ――原作、台本を読まれてみての感想は? 私は女性をセクシーに描いているアニメや漫画が特に好きで、谷口先生が描く絵が大好きなんです。『彼女と彼氏の明るい未来』はストーリーも現実にありえそうで、生感があって面白かったですし、台本を読ませていただいて、原作より生々しさが増していがすごく自分のツボでした。 ――関水さん演じる雪歌にはどのような印象がありますか。 私見ですが、女性で自己肯定感が高い人は少ないんじゃないかなと思っています。雪歌はもともと自己肯定感が低いところに過去のトラウマが重なり自分のことが好きではないんです。だから自分は愛されなくて当然といった考え方になってしまっています。その考えを変えさせてくれる人、一郎と出会えてとても幸せなんです。自分では埋められない部分って誰にでもあると思っているのですが、こんなにも自分のことを好きでいられる瞬間を作ってくれた人と出会えて、雪歌は幸せだと思いました。 ――撮影現場の雰囲気はいかがでした? 本当にいいチームですごく支えていただきました。私が特に印象に残っているのはカメラマンさんです。その方はずっと半袖短パンで、いきなり服をインしたり、すごく面白くて大好きでした。みんなそれぞれ個性的ですごく楽しいチームでした。 ――印象に残っている場面、シーンはどこですか。 私は一郎と過ごした幸せだった日々全てが印象的でした。こんなにも自分を満たしてくれる人がいるんだと、雪歌としてすごく感じていました。監督から「このシーンで2人が仲良しの描写は最後だよ」と言われた時、この幸せな日々が終わっちゃうんだと涙が止まらなくなってしまって。すごく思い入れのあるシーンになりました。 ――過去が見られるVRマシーンは、この作品の特色でもあると思います。関水さんは自分、もしくは誰かの過去を見てみたいですか? 両親が出会った頃を見てみたいです。どんな風に恋愛したんだろうとか、どんな風に好きになって結婚したんだろう? というのを見てみたいです。 ――雪歌は雑貨屋で働いていますが、演じてみていかがでしたか。 私は観葉植物が大好きなんですけど、撮影で使った雑貨屋さんに観葉植物がたくさん売っていました。高さが2mぐらいあるものもあって、「これは買ったとしてもどうやって持って帰るんだろう?」と撮影中も考えていました(笑)。撮影が終わったあともすごく気になっていて、いまだにあの観葉植物が欲しいです。 ■役の1番の味方でありたい ――今、目の前にある台本は実際に使っていたものですか? いえ、これは今日お借りしたものです。私が使っていた台本はボロボロです。撮影が始まる前は台本に直接書きこむことも多くて、台本がないときはノートに書いて、帰ってから台本に書き写すこともあります。台本を開いて閉じてを繰り返しているので、その容体はすごいことになっています(笑)。 ――今のお話から事前準備もしっかりやられていることが伝わってきましたが、台本を読み込む以外ではどのような準備をされましたか? そのセリフの意味、その人物がそう思うのはどうしてだろう? という疑問を一つひとつ丁寧に理解することで役作りをしました。基本正解はないものだと思っていますが、正解に近いものは絶対あると思うので、それを探っていきます。また、1度はそう思ったけど、台本を読み進めていくことで矛盾が生じたりするので、そこを修正していきます。 ――監督や脚本家の方に聞いたりはされますか。 監督に「ここはこういう気持ちで」と指示をいただくこともありますが、疑問に感じたらその意図について尋ねることはあります。回答を聞いてもわからないこともあって、「私はこういう気持ちでやっているのですが」と正直に話したりもします。 ――自分が納得するまで詰めていくわけですね。 はい。役をやる上でその人物の一番の理解者でありたいですし、役の一番の味方でいたいので、わからない気持ちのままなんとなく演じるというのはできないです。なんとなく演じてもそのシーンは成立すると思いますが、そうすると役がかわいそう、そして相手役の方にも失礼になってしまいます。一緒にお芝居をしている、ただセリフを言っているだけでは息が吹き込めていないですし意味がない。自分がしっかり理解するまで、真剣に話し合って演じようと思っています。 ――関水さんがお芝居に携わっていくなかで追求されていることは? 役と向き合うことです。本当に無限にやれることがあるなと感じています。例えば動きや相手に対するアプローチの仕方、そういった部分が自分はまだまだ足りてないなと思っています。現場に行ってたくさん表現をすること、経験がここからは重要になってきますし、しっかり一つひとつの現場を丁寧にやることが大事だと思っています。 ――さて、活動のモチベーションに繋がってる音楽、曲はありますか? よく聴いているのはマキシマム ザ ホルモンさん、YUKIさん、アカシックさん、スピラ・スピカさんです。スピラ・スピカの幹葉ちゃんは友達なんです。幹葉ちゃんは私のことで知らないことはないんじゃないか、と思うくらい仲が良いです(笑)。 ――どのような出会いだったのでしょうか? 私、Fm yokohamaが好きでよく聞いているんですけど、そこで幹葉ちゃんがラジオ番組をやっていて、それが面白かったのでそのことをインスタに載せたんです。そうしたら幹葉ちゃんから、「ライブに来ませんか?」とメッセージをいただいたのがきっかけで友達になりました。 ――マキシマム ザ ホルモンは、一郎が好きなアーティストとして本作にお名前が出てましたね。そんな関水さんがマキシマム ザ ホルモンで一番好きな曲は? たくさん好きな曲があるので選ぶのは難しいんですけど、今の気分だと「絶望ビリー」です。 ――最後に本作のタイトルにちなんで“明るい未来”と聞いて、どのような未来を想像されますか。 たくさんいい役に恵まれたいです。ずっとこのお仕事を続けられたらいいなと思っています。プライベートでは、マキシマム ザ ホルモンさんのライブに全部当たったらいいなというのと、『ドラゴンボール』の「一番くじ」で欲しいフィギュアが全部当たればいいのになと思っています(笑)。 (おわり)