日本でもタイでも…続く「フリーランス風俗嬢」の苦境 パパ活はじめ相場が再び下落、数少ない男性を奪い合う皮肉な現象
【カワノアユミの盛り場より愛を込めて】 2カ月ほど滞在したタイから一時帰国している。現地で改めて感じたことだが、タイも日本も夜の街には店があふれかえるほど存在するのに、客の数が減っている。また、日本でもタイでも風俗嬢のフリーランス化が進み、街の中やパパ活、ネットなどで直接、客を引く女性が増えている。 【写真】パタヤのバービア激戦区で、日本人客に狙いを絞ったある店。アニメ風の看板も目立つ 事情はやや異なるが、コロナ禍の際に見られた現象とも似ている気がする。コロナ禍で職を失った女性たちは一斉にアプリでパパ活を始めた。当時は風俗店なども休業を余儀なくされた。パパ活アプリには男性も大量に登録していたが、女性の母数が大きく増えたことで、パパ活市場全体の相場は下がったのだった。 現在、日本でもタイでも、パパ活をはじめとしたフリーランス風俗嬢の相場は再び下落している。 日本に関して考えられる理由は、パパ活による詐欺事件の増加だ。最近も、名古屋市に住む21歳の看護師の女がマッチングアプリで知り合った48歳の男性から73万円をだまし取った詐欺の疑いで再逮捕された。〝パパ活マニュアル〟をネット販売し、自身も複数の男性から約1億5000万円に上る大金をだまし取っていた「頂き女子りりちゃん」の手口と同様に、恋愛感情を利用した詐欺が横行しているのだ。 この「りりちゃん事件」が明るみに出た頃から、マニュアルを参考にしようとする〝パパ活女子〟がパパ活アプリに増えた。当然ながら「だまされたくない」と警戒する男性会員は激減した。結果、新規参入した〝パパ活女子〟だけが残り、相場を下げながら数少ない男性会員を奪い合う皮肉な現象が起きている。 一方、タイでは物価高を受けて歓楽街も全体的に値上がりしたため、客足が大幅に減った。夜の店の女性たちは少しでも稼ごうと、店を通さずに直接客とやりとりすることを望み、人気リゾート地のパタヤビーチでも、夜になると約200人の立ちんぼが並んでいた。 だが、観光地のパタヤでは旅行者までもが支出にシビアになっている。パタヤビーチの立ちんぼの言い値は2000バーツ(約8700円)前後で、交渉次第で半額程度まで下がることが多い。それでも、客が付きにくい状況は続いている。 定期的な摘発が行われている新宿の大久保公園でも立ちんぼの数は依然として減っておらず、相場はまだ下がっていくだろう。タイでも日本でも、フリーランスの風俗嬢が稼げなくなっている。彼女たちの苦境は今後も続いていきそうだ。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter)