ディオールのキム・ジョーンズ、ワークウェアトレンドをオートクチュールで刷新【2025年春夏コレクション】
6月22日(現地時間)、パリ・ファッションウィークでディオールの最新メンズコレクションが発表された。クリエイティブ・ディレクターのキム・ジョーンズは、イヴ・サン=ローランの遺したアーカイブや、ワークウェアからのインスピレーションを独自の表現に昇華した。 【写真58枚】ディオール2025年春夏メンズコレクションの全ルックおよび来場セレブをチェック! 6月22日(現地時間)、パリ5区にあるヴァル・ド・グラース修道院の庭園で、キム・ジョーンズがディオールの2025年春夏コレクションを発表した。コンテンポラリーアートを愛し、これまでにも多くのコラボレーションを成功させてきたジョーンズは今回、南アフリカの陶芸家ヒルトン・ネルをクリエイティブパートナーに選んだ。パリ・ファッションウィーク4日目に行われた待望のショーから、目に留まったディテールを紹介する。 ■ネコをモチーフにした舞台美術 ネルは動物、特に猫や犬の形をした陶器を専門とするアーティストだ。不釣り合いな形に焼き上げられた彼のカラフルな置物のXXLバージョンが、キャットウォークのあちこちに配されていた。背景には特大の階段が設置され、最後にモデルたちが整然と位置に付いた。 ■イヴ・サン=ローランへのオマージュ 1957年から1960年までディオールのクリエイティブ・ディレクターを務めたイヴ・サン=ローランの後継者にふさわしく、キム・ジョーンズは偉大なクチュリエへのオマージュを複数織り込んだ。例えば、彼は1958年秋冬から未発表のコートのスケッチを発掘し、それを初めて実現させた。また、サン=ローランが1960年秋に発表した柄入りのスカーフカラーを、キム・ジョーンズは繊細かつ現代風にアレンジしてみせた。 ■ワークウェア・オートクチュール オートクチュールのサヴォアフェールとテクニカルかつ都会的な美学との絶妙なバランスが、ディオールにおけるキム・ジョーンズのシグネチャースタイルだ。それはマルチポケットのジャケット、柔らかなパンツやショートパンツ、ニットベスト、ゴープコア的なコートなど、ハイエンドなワークウェアが主役となった今回の新作コレクションにも反映されている。 ■サウンドトラックはケイト・ブッシュ ロンドンのハマースミス地区出身であるキム・ジョーンズは、イギリス人としてのルーツに愛着を持っており、それをディオールでの仕事にも反映することをためらわない。そんな彼は今回のショーのサウンドトラックにケイト・ブッシュの「Cloudbusting」を選んだ。コンサートで録音されたライブバージョンが、この日会場に集まった多くの観客の背筋を震わせた。 ■ブラウンの存在感 着こなしやすい色とは言えないブラウンが、ディオールによるこの夏のメンズコレクションをところどころで彩った。パンツ、ウエストコート、コート、ショートパンツ、シューズ、バッグ……ブラウンはいたるところに登場し、様々な色合いで展開された。 ■スターアクセサリー キム・ジョーンズは、魅力的なアクセサリーを創り出す名人でもある。今回のコレクションでも、バイカーにインスパイアされたブーツ、チャームで縁取られた帽子、カラフルな柄のソックスなどでそれを証明してみせた。なかでも究極のスターパワーを発揮したのが、サイズ違いで登場したディオールの定番「サドル」バッグだ。ほかにも、ストラップ付きのクラッチバッグや、「Dior for my real friends」と書かれたトートバッグなどがショーを盛り上げた。 From GQ France by Adrien Communier Translated and Adapted by Yuzuru Todayama