県勢2校に春切符 健大高崎「待っていた」/桐生第一「自信がある」 /群馬
<センバツ高校野球> 第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催、朝日新聞社後援、特別協力・阪神甲子園球場)の出場校選考委員会が24日、大阪市の毎日新聞大阪本社であり、昨秋関東大会優勝の健大高崎(3年ぶり4回目)と同大会4強の桐生第一(4年ぶり6回目)が甲子園への切符をつかんだ。県勢のセンバツ2校出場は、2017年の健大高崎と前橋育英以来、3年ぶり5度目。大会は3月13日に組み合わせ抽選があり、19日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【妹尾直道、増田勝彦、鈴木敦子、高橋努】 ◇健大高崎「待っていた」 3年ぶり4回目 関東大会優勝、明治神宮大会準優勝と昨秋に大活躍した健大高崎に吉報が届いた。甲子園ではセオリーに縛られずに観客を魅了する野球で全国制覇を目指す。 「ありがたく受けさせていただきます」。午後3時10分ごろ、校長室で、大会本部からの選出の電話を受けた加藤陽彦校長が応えた。加藤校長はグラウンドで待つ選手やマネジャーに対し「関東代表としてふさわしいチームになるようにしっかり準備し、一生懸命プレーしてほしい」と出場決定を報告。選手たちは青柳博文監督を胴上げするなど喜びを爆発させた。戸丸秦吾主将(2年)は「この日を待っていた。出場が決まってほっとしている」と顔をほころばせた。 グラウンドで出場報告を見守った戸沢昂平選手(2年)の母、悦子さん(43)は「ネットの中継で健大高崎の名前が出てゾクゾクした。子どもたちには『おめでとう』と言ってあげたい」と話し、硬式野球部後援会の信澤壮さん(79)は「日々の練習があったからこそ、結果につながった。センバツではベスト4以上を目指してほしい」と期待を込めた。 昨秋県大会は3位に沈んだが、「下克上」を合言葉に団結。地元群馬開催の関東大会で初戦から2戦連続で九回に決勝点を奪う勝負強さを発揮して関東王者の座をつかむと、初出場した明治神宮大会でも全国の強豪校相手に2度のタイブレークを制すなど次々と接戦をものにした。伝統の機動力に小技を絡める巧みな攻撃と、下慎之介選手(2年)ら安定感のある投手陣の歯車がかみ合い、試合を重ねるたびに成長を感じさせる戦いぶりだった。 センバツでの最高成績は12年の4強。今春は全国優勝を掲げる。戸丸主将は「日本一になれるチーム。しっかりと自分たちの手でつかみたい」と自信をのぞかせ、青柳監督は「観客がびっくりするような『スペクタクルベースボール』で、日本一を目指したい」と力を込めた。 ◇桐生第一「自信がある」 4年ぶり6回目 昨年の秋季県大会で優勝した桐生第一。「知らせ」が届いたのは午後3時10分過ぎ。大会本部から出場決定の電話を受けた味戸克之校長は「ありがたくお受けいたします」と丁重に応じて電話を切ると、「決まりました」と安堵(あんど)の表情を見せた。 すぐさま校庭で整列して待っていた選手たちのもとへ向かい、「センバツ出場が決定しました。おめでとう! 優勝を目指して頑張ってください」と激励。選手たちは、詰めかけた保護者や教員が見守る中、今泉壮介監督と広瀬智也主将を次々と胴上げし、喜びを表現した。 今泉監督にとっては「予想以上に早く出た好結果」かもしれない。就任は18年11月。県勢として初の全国制覇(99年夏)など輝かしい実績を持つ福田治男氏の後を受けての就任だった。采配を手にして1年足らずで秋の県大会優勝を果たし、関東大会でも4強を占めて、チームを4年ぶりの甲子園へと導いた。 「私が監督に就任した時、選手の間には『この先一体どうなるんだろう』という思いがあった。その不安を取り除くには、とにかくコミュニケーションを図るしかなかった」と振り返る。監督と選手の間、選手間でもミーティングを重ね、チームとしての一体感醸成を目指した。その結果が昨秋の好成績だ。 広瀬主将は「どんなピンチも切り抜ける自信がある。一人一人が真面目に練習に取り組み、個々の役割を着実に果たそうとする『徹底力』が、うちにはあります」と胸を張る。投手陣の柱、左腕の宮下宝選手(2年)も「どこが相手になってもしっかり準備して戦える」と自信をのぞかせる。 今泉監督は一方で「チームとしては悪くないが、力はまだ全国レベルに届いていない」と、客観的に見ることも忘れない。「甲子園へ出場することが目的ではない。出場して勝ち進むこと。それが桐生第一で野球に取り組む目的だということを、選手と一緒に私も学んでいくつもりです」 ◇両校などで号外を配布 高崎健康福祉大高崎高校と桐生第一高校のセンバツ出場を知らせる毎日新聞の号外が各3000枚用意され、両校の地元などで配布された。健大高崎では、グラウンドに来た硬式野球部後援会や父母会のメンバーが号外を受け取り、選手たちの甲子園での活躍に期待を寄せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇健大高崎 強化指定部など活躍 1968(昭和43)年創立の私立校。2001年に群馬女子短期大学付属高校から名称変更した。部活動は運動部と文化部があり、硬式野球、サッカー、陸上、ソフトテニスなどの強化指定部がある。 硬式野球部は01年創部。11年夏に甲子園初出場を果たすと、翌年のセンバツでは4強入り。14年春から3季連続で甲子園に出場するなど、安定した成績を残しており、直近の17年春のセンバツでは8強入りした。 硬式野球部OBには、中日の三ツ間卓也選手、巨人の山下航汰選手など。19年秋のドラフトではホンダ鈴鹿の柘植世那選手が、西武から5位指名された。 ◇桐生第一 社会に役立つ人間に 1901(明治34)年創立の私立校。男女共学。前身の桐生裁縫専門女学館が48年に新制高校となり、68年に男子部を創設。89年に桐丘高校から現校名となった。「社会に役立つ人間の育成」を建学の精神として掲げ、「実学実践に基づく人間性豊かな全人教育」を目指す。 硬式野球部は春5回、夏9回の計14回、甲子園に出場。99年夏に全国制覇を達成した。OBにオリックスの小島脩平選手、巨人の藤岡貴裕選手、楽天のルシアノ・フェルナンド選手らがいる。 ラグビー部の監督は元日本代表の霜村誠一さん。サッカー、バスケットボール、柔道、陸上競技も盛ん。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇健大高崎 19年秋の成績 <県大会> 2回戦 ○10-1 太田 3回戦 ○ 8-0 東農大二 準々決勝 ○10-3 前橋商 準決勝 ● 0-5 前橋育英 3位決定戦 ○ 8-1 樹徳 <関東大会> 1回戦 ○5-4 常総学院(茨城) 準々決勝 ○3-2 西武台(埼玉) 準決勝 ○8-2 東海大相模(神奈川) 決勝 ○3-0 山梨学院(山梨) <明治神宮大会> 1回戦 ○7-1 倉敷商(岡山) 準々決勝 ○5-4 明豊(大分) 準決勝 ○3-2 白樺学園(北海道) 決勝 ●3-4 中京大中京(愛知) …………………………………………………… ◇桐生第一 19年秋の成績 <県大会> 1回戦 ○10-6 前橋 2回戦 ○12-2 高崎北 3回戦 ○ 8-1 安中総合 準々決勝 ○ 9-0 常磐 準決勝 ○14-0 樹徳 決勝 ○ 4-1 前橋育英 <関東大会> 準々決勝 ○10-4 桐光学園(神奈川) 準決勝 ● 5-6 山梨学院(山梨) ……………………………………………………………………………………………………… ◇健大高崎 秋の公式戦登録選手 投 下慎之介 2 捕※戸丸秦吾 2 内 安斎駿斗 2 内 小沢周平 1 内 山畑陸 2 内 橋本脩生 2 外 古滝友哉 2 外 戸沢昂平 2 外 山本遼哉 2 投 長谷川秀 2 投 橋本拳汰 2 捕 仲祐太 2 内 玉栄優磨 2 内 福岡勇人 2 内 中田隼哉 2 外 伊計清矢 2 内 木川玲 2 投 今仲泰一 1 内 山口将司 2 外 加藤豪 2 外 渡辺尚豊 2 投 鈴木威琉 2 投 桜井秀太 2 内 井岡皇雅 2 投 朝井優太 2 …………………………………………………… ◇桐生第一 秋の公式戦登録選手 投 宮下宝 2 捕 星野綜汰 2 内 中島優月 2 内 鈴木陵斗 2 内※広瀬智也 2 内 飯塚一樹 2 外 加藤真樹朗 2 外 曽我一瑳 2 外 大畠岳 2 投 下間博貴 2 投 大塚陸翔 2 捕 中村航大 2 内 佐々木智也 2 内 高畠寛大 2 外 佐藤詩恩 2 内 福士信晃 2 外 工藤ジョエル2 投 蓼原慎仁 2 内 伊能杏葵 2 外 川端琉真 2 左から守備位置、氏名、学年。※は主将