「バレンシアガ」の新しい洋服作りは続く 「着る」のではなく「着ける」洋服、驚きの2ウェイなど
クロップド丈のアウターの一部は、極端なハイネックだった。首はもちろん、頭さえ覆い隠すほどの存在感を放っている。デムナは、ルネサンスの頃から長きにわたり今のイタリアやフランスで栄華を極めたメディチ家に想いを馳せたという。ハイネックは、トスカーナ大公国やフランスでのメディチ家の装い、ハイカラーのシャツや、ケープ、マントのネックラインを参考にしたという。多くのハイネックは、ロング丈のアウターの裾や、そこに取り付けたボトムスを首の後ろで引っ掛けるような構造になっている。
ブルゾンとドレスの2ウェイ
「着ける」トップスが登場
ここから発展させたのが、リバーシブルや丈の長さを変える程度の次元をはるかに超越した2ウェイの洋服だ。例えばメンズのハイネックなレザーブルゾンは、胸元までの身頃を内側に折り込み、袖を結ぶと、コルセットでウエストをシェイプしたビスチエドレスに変化する。ハイネックのステンカラーやトレンチコートも同様だ。
そして終盤には、全く新しい装着方法のトップスが現れた。ブラトップのようなアイテムは、ラップブレスレットなどのように両端が自動で互いに近づく構造を有しており、ボタンやファスナーを使わなくても胸をホールドしてくれる。「着る」のではなく、「着ける」洋服だ。開発には1年以上の時間を要した。このアイテムが他のブランドへと広がっていくか?は未知数だ。しかし、これほど奇想天外な形で、新しい洋服、洋服の新たな可能性を模索し続けるブランドは少ない。