SKEもPRする「ESD」って何?
総合学習とは違う?「人づくり」
しかし、多くの人にとってESDの考え方は幅広すぎて、とらえどころがないように思えるでしょう。世界会議を支援する愛知県などは「SKE48」を起用して「未来を創る わたしを育むESD」などのキャッチコピーでPRに努め始めましたが、まだ抽象的ではないでしょうか。 環境省の関係者は「バケツ稲を育てたり、リサイクルを学んだりする総合学習と混同されてしまうが、それだけではだめで、もっと体系的に教えること」と説明します。例えば、バケツ稲づくりと同時に農薬の功罪などについても教え、農薬を使うべきかどうかを生徒自らに考えさせるといった、一歩踏み込んだ学習のイメージだそうです。また、教室での授業より課外活動を重視して、柔軟な発想と高い問題意識、行動力を持ったリーダーを育てる広い意味の「人づくり」だという研究者もいます。 ESDに取り組む学校は、ユネスコが認定する「ユネスコスクール」に加盟し、世界180カ国、約9000校の加盟校と情報共有や交流の機会を得ることができます。日本国内でもすでに700校以上がユネスコスクールに加盟。ESDの考え方に沿って年間の学習指導計画を立てる「ESDカレンダー」など独特の手法もあり、加盟校間で情報交換を盛んにしています。 実は、2008年以降に改訂された学習指導要領には、持続可能な社会づくりという「ESD的」な視点が盛り込まれています。同年に文科省が策定した第一期教育振興基本計画には、ESDやESDの10年の説明とともに「我が国の教育の在り方にとっても重要な理念の一つ」とも明記されているのです。 言葉や理念のわかりにくさは関係者にぜひとも解消してもらいたい課題ですが、特に小中学校で学んでいく子を持つ親は、単に「わからない」で終わらせてしまってもいけないかもしれません。 (関口威人/Newzdrive)