「Jリート」の価格が低迷している理由と、おすすめの8銘柄を解説! アナリストの投資判断が“強気”で分配金利回りが4%後半の「投資法人みらい」などに注目!
【Jリート】株に比べて「Jリート」が出遅れている要因をアナリストが解説! 分配金利回り4%台後半以上で、投資判断が「強気」の8銘柄も公開! ●業績は好調ながらもJリート価格が低迷しているのは、 「好調な株式市場」と「米国の長期金利の高止まり」の影響! 高利回りが期待できる資産として、Jリートの魅力が高まっている。実際、足元の日経平均株価の配当利回りは平均1.6%台だが、Jリートの平均利回りは4.4%台で、利回り5%超も11銘柄ある。 JリートはNISAで買うことができて、分配金(株式の配当金に相当するもの)も非課税でもらえる。昨今の株価上昇で高配当株の配当利回りが低下しているので、利回り重視ならJリートも検討してみる価値がありそうだ。 ここで改めて、ビギナーのためにJリートの仕組みを説明しよう。Jリートは、投資家から集めた資金で不動産を買って管理し、家賃や売却益を投資家に分配する。Jリートを買うことは、間接的に大家さんになるようなもので、オフィス、住居、商業施設、物流施設、ホテルなど投資したいタイプを選べる。 そんなJリートだが、直近では業績が好調な銘柄が多く、上場来最高の分配金水準となっている銘柄も目立つ。下のグラフを見ると、それにもかかわらずJリート価格が低迷していることがわかるだろう。 Jリート価格が業績に反応しない理由について、アイビー総研の関大介さんは次のように分析する。 「目下の状況には、好調な株式市場と米国の長期金利の高止まりが影響していると考えられます。前者は、国内機関投資家から見れば”株式を持たざるリスク”として受け取られるため、Jリート売りの材料に。リート型投信の多くを占めた毎月分配型がNISAの対象から外れ、投信経由のマネー流入が細った影響もあるでしょう。また、地銀など機関投資家が好調な株式に資金を移す動きもありました。一方、米国の長期金利の高止まりは外国人投資家の売り材料となり、特に物流系銘柄は、時価総額の大きい銘柄のスポンサーに外資系が多いため、価格下落の要因となりました。言い換えると、この2点が解消すれば、Jリート価格は上昇する余地が大きいでしょう」(関さん) 利回り面でJリート価格に割安感が生じているのは、前述のように時価総額が大きい銘柄の価格下落が顕著だったためだという。 「利回りが高い銘柄は、市場全体が下落する中でも安定的な値動きとなっているため、割安感が少ない点には注意が必要です。短期的な価格上昇力という面では、時価総額が大きい銘柄の優位性が強い状態と言えます」(関さん) 日銀が3月19日にマイナス金利を解除したものの、低金利政策の当面の継続が確認されたため、東証リート指数は反転。4月の新年度入りで、国内機関投資家は新たにJリートへも資金配分をすると見られており、需給面での懸念は和らいでいる。今のうちに注目する価値はありそうだ。 ●利回り上位のJリートのうち、投資判断が「強気」の8銘柄を紹介! 「総合型」や「オフィス型」など、さまざまなリートが高評価! 以下では、分配金利回りが高いJリート上位20銘柄のうち、関さんが業績などを分析して「強気」と診断した8銘柄を紹介。投資先の候補として検討してみてほしい(※以下、分配金利回りなどのデータは3月29日時点)。 ●利回り上位の「Jリート」で投資判断が「強気」の8銘柄! 分配金利回り 最低投資額(時価総額) 決算期 ◆投資法人みらい(3476) 5.08% 5万円(876億円) 4月・10月 【分析コメント】オフィス主体。コロナ禍でホテル運営会社破綻等の影響を受け、分配金は25%減少予想。収益拡大余地のあるホテル等の取得を進める。財務面では長期固定金利化を実施済で、金利上昇の影響は少ない。 ◆エスコンジャパンリート投資法人(2971) 5.08% 12万円(436億円) 1月・7月 【分析コメント】商業施設およびその底地に投資するが、投資方針を変更。住宅20%以下ながら明確に主要な用途として位置づけし、総合型へ。スポンサーとの利益相反取引で2022年7月に行政処分を受け、体制強化。 ◆いちごオフィスリート投資法人(8975) 5.01% 8万円(1229億円) 4月・10月 【分析コメント】中小規模物件を中心に投資するオフィス型で、テナント分散効果は強い。 売却益の影響で分配金の変動が大きいが、賃貸収益は安定。価格は2023年4月と比較すると2割程度下落しており、割安感は強い。 ◆産業ファンド投資法人(3249) 5.00% 14万円(3439億円) 1月・7月 【分析コメント】物流施設を中心に工場や研究施設にも投資。スポンサーのKKR傘下のロジスティード(旧日立物流)から28物件1082億円の物件を取得。大規模増資の影響で価格も下落しており、割安感が強い。 ◆日本リート投資法人(3296) 4.96% 35万円(1586億円) 6月・12月 【分析コメント】保有比率7割を占めるオフィスは中小規模物件が多く、テナント分散効果が高い。テレワークの影響が少なく、住宅も含め保有物件の賃貸収益は増加基調。物件売却益で分配金が変動する点には注意が必要。 ◆グローバル・ワン不動産投資法人(8958) 4.95% 11万円(1107億円) 3月・9月 【分析コメント】駅近の大型物件を中心に投資するオフィス特化型。東京の大手町の旗艦物件を、2025年3月期まで5期に分けて売却しており、分配金には売却益を含むが、2024年9月期の予想分配金は2400円。株価の割安感も強い。 ◆CREロジスティクスファンド投資法人(3487) 4.83% 15万円(945億円) 6月・12月 【分析コメント】物流系で唯一スポンサーが国内の物流専業会社。借入金比率は比較的高いが徐々に比率を低下させているのに加えて、固定金利の比率も高いため、金利上昇の影響は少ない。長期契約テナントが大半を占め、収益安定性も高い。 ◆KDX不動産投資法人(8972) 4.79% 16万円(6574億円) 4月・10月 【分析コメント】2023年11月にケネディクス傘下の3銘柄合併で総合型へ。資産規模は1.2兆円弱で、テナント分散効果も高く、下限設定の分配金3800円の安定性は高い。時価総額も大きく、価格上昇余地が大きい。 ※株価などのデータは2024年3月29日時点。 日本株に比べると「Jリート」は大きく出遅れている状況だが、分配金利回り4%超は魅力的な水準。NISAで安定的に投資したい人も参考にしてほしい。
ザイ編集部
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