「夏まつり 唄まつり」初のチャリティー・オークションで被災地支援 日本歌手協会の活動に期待
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 一般社団法人日本歌手協会(田辺靖雄会長)が主催するコンサート「夏まつり 唄まつり」が6月5、6日に都内で開催された。 1月に発生した能登半島地震と、4月の台湾地震の被災地支援チャリティーとして開催された。 2日間3公演に、五木ひろし、由紀さおり、伍代夏子、川中美幸、香西かおり、瀬川瑛子らの演歌勢だけでなく、菅原洋一、アグネス・チャン、ジュディ・オング、海援隊、江木俊夫、田中健、クミコらさまざまなジャンルの歌手が総勢100人以上出演した。 観客も大挙して訪れた。3日間はほぼ満員で、計4000人以上が会場を埋め尽くした。 今回初の試みとなったのが、出演者らが提供した品々のチャリティー・オークションである。ロビーにさまざまな提供品が並べられ、2日間3公演の来場者が指定の紙に必要事項を書いて入札。最高額を入札した方に、後日その品がプレゼントされるという試みを初めて実施した。 入札金はもちろん、能登半島と台湾の被災地へ寄付される。ただ、高額な入札を求めるのではなく、「1000円以上」など気軽に入札できるように目安が記された。 伍代夏子は豪華な訪問着、初司会を務めた竹下景子は黒、赤、青、茶のドレス4点を提供した。三田明は自ら制作したTシャツを数点提供した。日本歌手協会所属で、今回は出演していない歌手からも多くの品が提供された。倍賞千恵子はすてきなコートとバックを提供した。このほか、アクセサリーやカバン、ジャケット、アロハシャツなどが並べられた。 時に、宣伝用のグッズを提供する人もいるが、今回はほとんどすべてが自らの愛用品だった。 友人らと一緒に入札に参加した70代の女性は「募金箱を置かれるより、楽しんで入札できました。金沢明子さんの着物や畠山みどりさんのドレスがとてもすてきでしたが、別に当たらなくてもいいんです。こうしたイベントに、自分も参加し、(チャリティーに)協力しているという気持ちになれれば、それで満足です」と話した。 日本歌手協会は1963年(昭38)に、プロ歌手の権利・財産・名誉を守ることを主眼として、ジャンルを超えた歌手が集い設立された。初代会長は東海林太郎氏だった。その後、歌を通じての文化・社会貢献を積極的に行ってきた。 東日本大震災、熊本地震など、これまでも数多くのチャリティー活動を行っている。さらに、ロシアがウクライナに侵攻した際には、観客全員に平和をアピールするペンライトを無償で配った。 歌手は基本的にプロダクションや芸能事務所に所属しているが、日本歌手協会のイベントにはそうした枠を超えて、多くの歌手が積極的に参加している。 「夏まつり 唄まつり」のパンフレットの表紙絵は、能登半島地震で大きな被害のあった石川県志賀町に住む谷口三姉妹(穗香、優香、涼花)の絵である。被災の恐怖や悲しみではなく、子供たちが手をつないで、にこやかに、楽しそうに歌を歌っている。音楽の持つ力、明日への希望が込められている。 これからも日本歌手協会の活動に期待したい。【笹森文彦】