米津玄師、朝ドラ主題歌を歌う(後編)
──映画監督・写真家の山田智和さんが撮られた新しいアーティスト写真では、三つ編みを披露していますね。 三つ編みは昔からやりかったんですよね。面白そうだなってずっと頭の中にあったので。ドラマの脚本を読んで、この曲を作って、このタイミングなのかなと、なんとなく思った感じですね。 ──赤い服も何かイメージがあったのですか? 赤より緑が最初にありました。曲を作っていて、緑っぽい印象があったんですよね。写真の背景も草原というか緑ベース。そこに映える色はなんだろう?と考えた時に、補色の赤やオレンジが浮かんできて。緑から逆算していきました。 ──普段曲を作る時も色のイメージが湧くのですか? 浮かぶときもあれば浮かばないときもあります。そもそも漫画家になりたかった人間なので、絵とかヴィジュアルイメージを頭で想像しながら曲を作ることはよくありますね。事細かに情景を思い浮かべる曲もあるし、抽象的なイメージも、その時々によってですね。 ──ところで、主人公は「五黄の寅年」生まれなことから寅子と名付けられていますが、米津さんの干支は…? 未年です。羊ってちょっとかわいすぎるので、寅年はかっこよくていいですね。 ──韓非子の言葉「虎に翼」(≒「鬼に金棒」)という意味のドラマタイトルにちなみ、これを手に入れたら最強だと思うものはありますか? パソコンですかね。武器という意味ではなくて、落ち着くというか。作業が切羽詰まっているときに外出すると落ち着かないんです。パソコンの前に座っていつでも作業できる状況にしておきたいですね。 ──無の状態というか、何もせずただ座っていることも? ありますね。むしろそっちの方が多い。お手上げ状態の時はよくあります。 ──そんな時に、別の曲が浮かぶこともありますか? 昔は1曲作るとなったら、付きっきりでなければ気が済まなかったんですけど、最近結構柔軟にできるようになってきました。行き詰まったら一回置いておくか、と凍結して次の曲をやるとか。 ──今回の「さよーならまたいつか!」もそうですが、宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』の主題歌「地球儀」など、機密性の高い重要な作品が続いていますね。 本当に自分でもその危惧はしているんですよね。連続でボンボンやっていたら、規模が大きくなりすぎてしまう。インフレバトルみたいな、戦闘力が高いやつがどんどん出てくる少年漫画みたいになっちゃうので、どこかでリセットしたいなとは思います。 今年や来年はもう少し肩の力が抜けた曲をたくさん作りたいですね。 ●『さよーならまたいつか!』配信中 NHK連続テレビ小説『虎に翼』主題歌 ●米津玄師 2009年よりハチ名義で、2012年から米津玄師として活動をスタート。2018年リリースの「Lemon」で300万セールスを記録し、日米初となるBillboard JAPAN 2年連続での年間ランキング首位獲得など、数多くの記録を樹立。DAOKO「打上花火」、Foorin「パプリカ」、菅田将暉「まちがいさがし」などアーティストプロデュースも手がける。以降、「馬と鹿」「感電」などヒット曲を連発。2020年にはアルバム「STRAY SHEEP」を発売し、ゲーム「FORTNITE」での革新的な全世界バーチャルライブを催す。2022年は「PlayStation」CMとして「POP SONG」、映画「シン・ウルトラマン」主題歌「M八七」、TVアニメ「チェンソーマン」OPテーマ「KICK BACK」を書き下ろし、2年半ぶりのツアー「米津玄師 2022 TOUR / 変身」を行う。2023年はツアー「米津玄師 2023 TOUR / 空想」を開催。ジョージアCMソング「LADY」、「FINAL FANTASY ⅩⅥ」テーマソング「月を見ていた」も話題に。そして米津玄師名義では100曲目となる「地球儀」を、宮﨑駿監督映画『君たちはどう生きるか』主題歌として書き下ろした。 Photo_Tomokazu Yamada Text_Mika Koyanagi
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