絶妙な形で金融政策が行われているアメリカ 米株式市場の「主要3指数」が過去最高を更新
絶妙な形で金融政策が行われている
飯田)一時期はインフレ率9%などと言っていましたが、ここまで上手くコントロールしてきたことになるのですね。 山川)そうですね。なかには「ノーランディング」という言葉もあり、物価退治できないまま終わってしまう、いわゆる着陸できないような状況です。 飯田)物価が高いままになってしまう。 山川)抑えきれない状況が心配されていましたが、だいぶマイルドなところまで物価退治が進んだので、いまのところは絶妙な形で金融政策が行われていると思います。
年3回の利下げが確認できたので、マーケットに安心感が広がり、デジタル銘柄の「金利敏感株」が反応
飯田)FRBも物価目標は2%だと言っています。3%台からもう一息進むか、人によっては「3%ぐらいが普通ではないか」と言われたりもします。その辺りの水準はどうですか? 山川)年内3回ぐらいの利下げがあるという予想でしたが、マーケットが心配したのは、物価退治がままならないので「利下げのペースが少し鈍るのではないか」ということです。しかし、FRBのメインシナリオとしては年3回の利下げが確認できたので、パッと安心感が広がった。特に半導体などのデジタル銘柄は「金利敏感株」と言いますが、できるだけ金利が低い状態の方が業績が上がっていく銘柄なので、そこが反応して、アメリカの株価もいいという状況になっています。
金利が下がれば株価が上がるハイテク株
飯田)半導体が敏感株と言われるのは、それだけお金を借りる機会が多いということですか? 山川)それもありますが、「将来の稼ぎが大きくなる」という予想をもとに、ハイテク株の株価が形成されています。その計算式は、金利が高くなると将来、稼ぐお金が少し減るような形なのです。ハイテク株はテクニカルに「金利が上がれば株価が下がる、金利が下がれば株価が上がる」という銘柄になっています。
日経平均を引き上げている「エヌビディア3兄弟」
山川)それと連動して日経平均も動いています。日経平均を構成するなかで特に引き上げているのは、「エヌビディア3兄弟」と言われるものです。東京エレクトロン、アドバンテスト、そしてエヌビディアと近いソフトバンク。こういうところが引き上げているわけです。アメリカの金融政策が日経平均にまで連動している状況です。 飯田)だから「主要3指数が上がったので日経も上がった」という解説が出てくるのですね。構成銘柄のなかでは半導体株、ハイテク株の比重が大きいという話も聞きます。 山川)日経平均は225銘柄ですが、なかでも株価が高いものは寄与度が大きいという状況です。日本(経済)が本当に回復するためには、もう1つTOPIXという東京証券取引所のプライム市場にある全銘柄を反映させた指標がありますが、こちらはまだ最高値を数パーセント更新できていません。TOPIXも更新できれば「本物だな」という感じはあります。あくまでも日経平均は銘柄を入れ替えながら、ある程度成長力のあるものに入っていますが、そこがいま最高値を更新している状況です。