中居正広の女性トラブル報道 テレビ各局“スルー”は「罪深い沈黙」元Pが指摘する業界の悪習
「使命を果たしていない」中居の女性トラブルを報じないテレビ各局に識者が警鐘
TBSではようやく取り上げられたものの、これまでテレビ各局が沈黙を続けてきたことに、「一種の異様な状況」と指摘するのは元毎日放送プロデューサーで同志社女子大学メディア創造学科の影山貴彦教授だ(以下、カッコ内は影山氏)。 「トラブルが当事者間で解決しているということや、テレビ局側として把握している情報が少ないといった事情があるのかもしれませんが、スルーされていることに視聴者への不誠実さをとても感じています。中居さんが出演する番組の差し替えや放送休止といった対応をとっているにもかかわらず、トラブルに関して沈黙するということは、正確な情報を迅速に伝える使命を果たしていないということですよね。 ネットニュースでは中居さんのトラブルに関する記事が多数配信され、SNSでも高い関心が寄せられているだけに、テレビ各局の沈黙はモヤモヤ感を増大させ、非常に不健康な状態になっているように思います。例えば、“調査中です”や“テレビ局も対応に苦慮している”と伝えることも一つのメッセージになると思いますから、情報番組などの放送を通じてテレビ局のスタンスを示すことは、1日でも1時間でも早く求められるでしょう」 他局の対応とは唯一異なった日本テレビでは、中居の出演シーンを全てカットして『仰天ニュース』を放送したが、オンエアでは事情を説明するテロップなどは出されていなかった。こうした点についても影山氏は「不誠実」だと指摘し、テレビ局に対する不信感が増してしまう恐れがあると警鐘を鳴らす。 「日本テレビやフジテレビが用いた『総合的に検討』や『総合的に判断』といった文言も、横並びに最近のテレビ各局の“決まり文句”になっています。旧ジャニーズ事務所の創設者であるジャニー喜多川さん(享年87)の性加害問題が明るみになった当初も、テレビ各局は横並びのコメントを出していました。その時と同じように、今回も“対応方法を裏で確認し合っているのではないか”というような雰囲気が感じられます。 私はテレビの専門家として申し上げたいのですが、こうした積み重ねがテレビの不信感を募らせてしまう原因なのではないでしょうか。ひいては“テレビ離れ”に拍車をかけることに繋がりかねませんが、とりわけテレビ局の上層部はその辺りの危機感が薄いように感じます。 昔とは違って今は、“このまま嵐が去れば、これまで通りテレビを見てもらえる”というような時代ではありません。情報伝達が早いネット社会では嘘の情報もありますが、なかには真実も含まれているわけです。様々な情報を取捨選択して、きちんと判断できる視聴者がほとんどだと思いますから、絶対にないがしろにしてはいけません。非常に厳しい言い方をすれば、テレビ各局は罪深い沈黙を続けているという風に感じます」