<SPY×FAMILY>ボンド奮闘!……もロイドにはなかなか伝わらず? 心優しい超能力犬の活躍
少年ジャンプ+にて連載中の同名コミックをアニメ化した『SPY×FAMILY』Season 2(毎週土曜夜11:00-11:30ほか、テレビ東京系列ほか/ABEMA・ディズニープラス・Huluほかにて配信)。凄腕スパイの〈黄昏〉ことロイド・フォージャー(CV:江口拓也)が“仮初め”の家族を築き、任務と新生活に奮闘する痛快コメディー。12月23日に放送された「MISSION:37」は、フォージャー家のペットで超能力犬のボンド・フォージャー(CV:松田健一郎)が、ロイドとの散歩中に巻き起こす騒動を描いた「家族の一員」。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】折り紙遊びに奮闘するアーニャ・フォージャー(CV:種崎敦美) ■ボンドの予知能力にロイドが振り回される? ある日、ロイドはボンドの散歩にアーニャ・フォージャー(CV:種崎敦美)を誘うも、折り紙遊びに夢中で断られる。ならば散歩の時間を訓練に充てようと考えたロイドは、フランキー・フランクリン(CV:吉野裕行)を呼び出し、公園でボンドを訓練することに。訓練中、性根の優しいボンドをつい叱ってしまうロイドだったが、ボンドは〈プロジェクトアップル〉時代の辛い訓練の記憶を思い出し、うなだれてしまう。フランキーの助言もあり、訓練は中止にしてふつうの散歩に切り替えるロイドだったが、その後も予知能力によって人助けをしようとするボンドの行動に振り回され、しだいに違和感を覚えていく。 「MISSION:27」の「ボンドの生存戦略」以来となるボンド主役回。アーニャに散歩への同行を断られてしまい寂しそうな表情を浮かべるシーンから始まり、訓練を通じて過去の嫌な記憶が蘇って落ちこんでしまったり、ロイドに褒められようと取った行動がことごとく裏目に出て叱られてしまったりと、ちょっぴり不憫なボンド。心が読めるアーニャとのコンビであれば予知能力も最大限に発揮できるものの、ロイドにはボンドの真意がわからず不審な行動と見られてしまう。また今回は、フランキーがロイドを諭すシーンにも注目だ。ボンドの気持ちを察して「もっと楽しそうに相手してやれよ」「おまえはいつもそういうとこ足んねーよ」と言い放つなど、普段のひょうきんな様子からは一転、忠告をしてカッコよく去っていく姿は新鮮だ。こうして思ったことを素直に言い合えることも含めて、改めてロイドとフランキーの関係性を感じるやり取りでもあった。 ■ボンドとロイドの仲が深まる 自身の予知能力を理解してもらえず、ロイドに不審がられてしまったボンドは、予知による人助けを続けるかやめるかで悩むが、そこに飛び込んできた予知映像は「火事のアパートの前で泣き叫ぶ女性の姿」だった。火の手が上がるアパートまでやってきたボンドは、自らのリードを噛みちぎって単身燃えるアパート内へと入っていく。逃げ遅れた子犬を見つけたボンドは、遅れて入ってきたロイドと合流し、ともに火の手が迫る屋内から脱出。さらにボンドは現場近くに潜んでいた放火犯までをも特定し、突撃していくのだった。 ここではボンドの心優しさが発揮された。「鳩のフン被害」を予知した際は、ロイドから叱られることを想像し、助けるべきかどうか悩んでいたボンドだが、「火事で泣き叫ぶ女性」を予知すると、そんな葛藤はなく一目散に駆け付けようとする。“困っている人を助けたい”というボンドの純粋な気持ちは止めようとするロイドをたじろがせるほどで、その行動が子犬の救出に繋がった。子犬の無事を喜ぶ女性の嬉しそうな姿を物陰から見守りつつ、満足そうな笑みを浮かべるボンドは、まるで見返りを求めないヒーロー。またこのパートでは、初めて水に濡れたボンドもお披露目された。ボンドと言えば大柄なシルエットとふわふわな毛並みが印象的だが、水にぬれるとかなりスマートな体格があらわに。さらには水に濡れると声のトーンが高くなるなど、お芝居にも細かな遊びが散りばめられていて面白い。 ■フォージャー家の魅力がギュッと詰まった家族シーン 子犬の救出と放火犯の捕縛に貢献したボンドは、ロイドから「よく頑張ったな。すごかったぞ」と褒められる。続けて「…だが… 無茶はするな。ウチにもおまえが死んだら悲しむやつがいる」と言われたボンドは、アーニャとの思い出を振り返って思わず瞳を潤ませる。ロイドの優しさに触れたボンドは、嬉しさのあまり彼に体を擦りつける。「調子に乗るな!」と言われながらも、甘えるように声を漏らすのだった。帰宅後、ロイドは放火事件のことを伏せていたが、心を読んだアーニャはロイドとボンドが大活躍をしたことを知り“おさんぽ、すーぱーがんばったでしょう”と、それぞれに折り紙で作ったお手製の〈星(ステラ)〉を授与する。ヨル・フォージャー(CV:早見沙織)も、「ボンドさんロイドさん、おめでとうございます♪」と拍手を送る。こうして、フォージャー家の幸せで平穏な一日は過ぎていくのだった。 ラストパートは、フォージャー家の魅力がギュッと詰まったシーンの連続だ。ボンドの活躍を褒めながらも無茶な行動を心配するロイドは、つねに相手を理解しようとする姿勢を見せていたし、正義感を発揮したボンドは、そんなロイドの言葉によりフォージャー家を想う気持ちをいっそう強くした。ボンドたちの活躍を知ったアーニャは心から喜んで勲章(〈星〉)を与え、それを見たヨルは無邪気に拍手を送る。勤勉で努力家なロイドと思いやり深いボンド、優しいアーニャ、無邪気なヨルと、“これぞフォージャー家”とも言える見事な連携でSeason 2を締めてくれた。さらに終盤では、ゆったりとした音楽とともにそのほかのメインキャラクターたちの日常風景が描かれ、ラストカットで再びフォージャー家のリビングが映し出されるなど、最終話ならではの多幸感に満ちた演出も素晴らしかった。再びフォージャー家のあわただしくも幸せな光景を見られる日がくることを願う。 ※種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」 ■文/岡本大介