ピラルクやカミツキガメなど9割が外来種の京都の水族館、「入場無料」続ける理由を訊いた
来館者へのガイドも、子どもたちが担当
──なるほど、そういった寄付やクラウドファンディングのおかげで、「入場無料」を維持できているんですね。子どもが運営に関わるというのも、水族館としては珍しい形ですよね。 この水族館自体、教会で出会った男の子の「生きた魚を見たことがない」という言葉からはじまりました。最近は「飼育小屋」がある学校も減っていますし、子どもが生きものとつながる場所はどんどん減っています。 ここに遊びにやってきた子どもたちに、生きものとの触れ合いを通して外来種にまつわる背景や生き物・環境問題への興味を持ってほしい・・・という思いから、コロナ禍から子どもたちに役割を与えて生き物のお世話をしてもらうシステムを作りました。 ──現在のシステムはコロナ禍から始まったんですか? これまでは、生きものが好きな子が自由に世話をするという形だったんです。でも、コロナ禍で以前にも増して触れ合う機会が減ったので、興味がない子にも実態を知ってもらいたいということで制度化しました。 ちなみに、来館者が来た際のガイドも子どもたちが担当しています。はじめは私の解説を聞いて勉強してもらうんですが、そこからは各々が「推しの生きもの」を見つけるんですね。そこから自主的に学ぶようになって、僕も「そうなの!?」と驚くような新しい知識を教えてくれたりして。 ──今回話題となったXの投稿にもあったように、子どもたちの居場所づくりにも繋がっているということですね。 この場所を必要としている子は定期的に現れます。正直なところ、完全寄付で運営するとなると、何度か存続が危うい時期もありました。それに、これだけの生きものを世話するとなると、私自身も「ああ疲れるなぁ」と感じる時期もあって。でもそういった子どもと出会うと、うちの存在意義を改めて感じますし、鼓舞されるような気持ちになりますね。 ◇ 同館の営業日は、土・日曜日の昼2時から夕方5時まで(1時間入れ替え制)。入場料は無料で、館内で寄付をおこなうことも可能だ。 取材・文・写真/つちだ四郎