『問題児扱いされているはみ出ちゃう子、悩んでいる子は面白い』不登校だった小学生が元気に通う学校「花まるエレメンタリースクール」を密着取材
フリマの開催日を子どもたちが決める
「開催日を平日か週末か決めましょう!」 ランチの後はPBLの時間だ。当日は7月に行う「フリーマーケット」の日時を決めるため、皆で話し合った。 多数決で決めるのだが、誰が手を挙げたかわからないように皆が目をつぶって、司会の子どもが手の挙がった人数を数える。先生はその議論に加わらず見守るだけ。あくまで決めるのは子どもたちだ。結局7月11日に行うことが決まった。 そしてフリーマーケットの役割ごとに、子どもたちはグループに分かれた。イベントを考えるグループ。告知・広報のために、チラシを作成するグループやウエブ動画を制作するグループ。近隣の店舗にチラシを貼ってもらうよう営業するグループ。支払いのために電子決済を考えるグループもある。
商店街に電話や飛び込みでチラシ貼り
「花まるエレメンタリースクールと申します。フリーマーケットをやりますがそちらの店舗にB4サイズのチラシを貼ることができますか」 営業担当の子どもが店舗に電話をしていた。大人相手に臆することなくすらすらと“営業トーク”するのを見て筆者は驚いた。電話を切るとその子どもは「貼ってくれるって!」と他の子どもに伝え「やった!」「商店街をかたっぱしからやろう」と盛り上がる。 さらにチラシを持って“飛び込み営業”をしようと外に飛び出すグループもいる。先生が同行するが、交渉中はほとんど口出ししない。先生に「子どもたちが授業中に外に出ても大丈夫なんですか?」と聞くと「失敗してもいいから、熱量そのままで外に出るのがいいのです」という。 イベント担当のグループをみると、「射的」「輪投げ」「卓球」などアイデアを出し合い議論していた。
「問題児扱いされている子どもを育てたい」
花まるエレメンタリースクールが設立したのは2022年。初年度は子どもたち19人から始まって、2年目が約60人。その後も入学が増え続けて今年度は100人となっている。すでに今の場所は一杯になっていて、都内で別の場所を探し中だ。 設立者で校長の林隼人さんは、かつて中学校の英語の先生だった。その後3歳から小学生にサッカー・チアを通じて英語を教える「グローバルアスリートプロジェクト」の学長を務め、農業とビジネスを教える「みんなビレッジ」やファッションブランド「ノットイコール」を設立してきた。 隼人校長(学校はファーストネーム呼び)は設立のきっかけをこう語る。 「花まる学習会の高濱正伸代表と農業プロジェクトやお互いが同じアート作家を好きだったことを通じて知り合い『はみ出ちゃう子やすごく元気がある子、悩んでいる子が学校では問題児扱いされるけど、そういう子は面白い。育てたいけど場所があまりない。そのために日本一子どものことをチームで話し合う職員室がある学校をつくりたい』と話したら、高濱さんから『それならやろうよ』となりました」