スーパーフォーミュラに史上最年少・初の日本人女性レーサーが誕生。野田Jujuが初レースで残したインパクト
今季、TGM Grand Prixからスーパーフォーミュラに参戦した「Juju」こと18歳の野田樹潤は、F1に次ぐ国内最高峰の舞台で、史上最年少、初の日本人女性レーサーという2つの記録を刻んだ。3月10日の初戦では21台中17位でフィニッシュ。思うような走りができなかった予選までの試練を乗り越え、決勝のレース後には充実した表情で「悔いのないレースができた」と語った。元F1レーサーで、チームのアドバイザーでもある父・英樹さんは、大舞台での初挑戦をどのように見守ってきたのか。決勝の舞台裏にも迫った。 (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真提供=juju10.com)
スーパーフォーミュラ初戦「悔いのない最高のデビュー」に
――3月10日のスーパーフォーミュラ初戦では、出場21台のうち17位で完走。2台がリタイアするなか、周囲と遜色ないタイムで、試合後のインタビューでは樹潤さんも「悔いのない、最高のデビュー戦だった」と話していましたが、英樹さんにとってはどのようなレースでしたか? 野田:想定外のこともあり、いろいろなことが起きた週末でした。もともと練習もほぼできない、いろんなことが初めてづくしの中で苦戦は覚悟していましたし、今年に関しては、スーパーフォーミュラの舞台で結果を残すというよりは経験を積もうということで、完全に割り切って今シーズンに挑んでいます。とはいえ、10日の初戦の前に、1回しかない大事なテストが雨や雪に見舞われて思ったような走行ができない。その中でいきなり本番の週末になり、初日のフリー走行、予選がチームとのコミュニケーションもうまくいかず、本来の想定していた走りすらもかなわないという、最悪の状態で決勝を迎えていたわけです。 ――最初から大きな逆境に見舞われていたのですね。 野田:その中でも諦めず、決勝に向けて我々としては土曜日の予選が終了してからも精一杯のことをして日曜日の本番を迎えました。それで、当日の朝一番のフリー走行ではちょっといい雰囲気の流れができたんです。前日の予選後にいろいろトライしたことが結果につながるような兆しがそのフリー走行で見えて、本来の樹潤の姿が戻りつつあったとは思います。 ――樹潤さんは、どのような思いでスタートの瞬間を迎えていたのでしょうか? 野田:いろいろな思いや葛藤があったと思います。大舞台で、たくさんのメディアやファンの方たちが会場に来てくださっていましたし、SNS等でもたくさんの励ましの言葉や、その逆の雑音的な言葉もありました。そういう意味では、プレッシャーもあったと思います。 練習で本来の力を精一杯発揮しての本番なら、すべてを受け入れて挑めたと思うのですが、それすらもかなわない状況で、本人的にはその気持ちをぶつける場所もなく、もやもやした思いがある中でのスタートだったと思います。ただ、本人なりに「できることを精一杯やる」と頭の中では割り切っていたんじゃないでしょうか。