コンビニで「秘匿訓練」のはずが…想定外の事態に 特殊詐欺防ぐ試み
相次ぐ特殊詐欺を防ごうと、兵庫県警伊丹署は6月26日、伊丹市内のコンビニエンスストアで「秘匿訓練」なる取り組みを初めて実施した。しかしその結果は――。 【写真】詐欺を防ぎまくる名物ローソン かよ子さんの意地と悔い 午前10時すぎ、同市堀池3丁目のファミリーマート伊丹堀池店に、高齢の女性が姿を現した。 レジへ向かい、電子マネーを買おうとする。「自宅でパソコンを操作していたらエラー画面が出て、5万円分を買うよう言われてん」 実はこの人、約4600人を擁する同市老人クラブ連合会長の望月勝美さん(82)だ。 特殊詐欺の被害者になりすました望月さんを、きちんと説得できるか。「秘匿訓練」はコンビニ店員に対する抜き打ちチェック、というわけだ。訓練だと知っていたのは店長の立津千晴さん(43)だけだった。 ところが望月さんがレジで声をかけたのは偶然にも、立津店長だった。 当然ながら立津店長は「詐欺の可能性がある。警察に相談したほうがいい」と説得。客を装い店内にいた伊丹署員が声をかけ、訓練は終わった。 リアルさを追求した訓練だったものの、「秘匿」は失敗。残念がる署員もいたが、望月さんは「店員さんの言葉ひとつで待ったがかかることがよく分かった。やってよかったですね」と話した。
朝日新聞社