見ず知らずの精神疾患を患う人に誹謗中傷されているという61歳女性に、鴻上尚史が贈った「人生の大切な時間とエネルギーを使わないで向き合う方法」とは
【鴻上さんの答え】 魔法瓶さん。大変でしたね。でも、泣き寝入りせず、「削除依頼」や「情報開示」を求め、警察や弁護士さんに相談したのは、本当に大変だったでしょうが、よかったと思います。 ネットの中傷や誹謗に対しては、毅然たる態度がますます必要になってくるでしょうから、魔法瓶さんがやられたことは、とても大切なことだと思います。 さて、魔法瓶さん。 「今私に出来ることはあるでしょうか?鴻上さんだったらどうされますか?」と書かれていますが、僕が魔法瓶さんだとしても、申し訳ないのですが、これ以上できる有効な対策は思い浮かびません。 魔法瓶さんがやられたことは、誹謗中傷に対してのお手本のような行動だと思います。 「一旦ブログは削除され収まっている」ということは、誹謗中傷した人(仮にAさんとしますか)は、削除することに納得したということでしょうか。 「精神疾患の患者さん」ということですが、Aさんは納得しないまま、ブログ会社が判断して削除したということでしょうか。それとも、一応、Aさんは納得して削除したのでしょうか。 それによっても、これから先、またAさんが誹謗中傷するかどうかの度合いは変わってくると思います。 また、「ブログの運営会社にその記事の削除依頼」をしたということですが、Aさんは、個人ブログに書き込んだんですか? それとも、XやFacebookでしょうか。 プラットフォームが何かによっても、ネット上の拡散の度合いは変わってくるでしょう。 魔法瓶さんは、どういう経緯で自分のことが書かれていると知ったのでしょうか。 今、僕が考えるギリギリできることは、Aさんが新たな書き込みをしないか、定期的にブログをチェックすることだけです。
でも、これは、メンタルにかなりの負担がかかりますよね。そんなことで、人生の大切な時間とエネルギーを浪費するのは、本当に情けなく、腹立たしいことです。 僕なら、知り合いか誰かにバイトとして確認を頼みます。例えば、1カ月とか1週間に1回、Aさんのブログを覗き、同時に、魔法瓶さんの名前でエゴサーチして、新たな誹謗中傷の書き込みがないかチェックしてもらうのです。 自分だと、確認作業自体でかなり消耗するし、身体にも心にも悪影響が出ると思うからです。 で、もし、また書き込んでいたら、もう一度、警察と弁護士さんに相談します。 今までの弁護士さんが相手にしてくれないなら、他を探します。とにかく、書き込みを止めるために何ができるか、一緒に真剣に考えてくれる人です。 Aさんの自宅を、第三者の人に訪ねてもらうことは可能なのかとか、民事を含めて法律的に何かできないか探るとか、です。 今現在、Aさんは何も書いてないのですから、「これ以上何も書くな」ということを求めるのは、難しいと思います。ですから、こういう対処法しか浮かびません。 でも、次にやったら、とにかくなんとしても対応すると腹を括ることで少しは不安が減るのではないかと思います。 魔法瓶さん。すみません。僕が考えることはこれぐらいです。魔法瓶さんに、何も起こらないことを心から願います。 【鴻上さんへの相談、募集中!】あらゆる人間関係、組織のなかで、相談者の身に起きている困ったこと、身動きのとれない境遇、逃げ出したい状況など、すべての悩める事態に鴻上尚史さんが答えます。ぜひ、あなたの悩みをこちらからご投稿ください。※投稿に当たっては、注意事項を必ずお読みください。
鴻上尚史
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