なぜ立憲民主党には「マトモな候補者」がいないのか…野党が質の低い「炎上議員」を量産してしまう理由
■半年以内に、野党は公認候補者を「無理やり」立てていく 政党が公認候補者の不採用を判定するシステムを導入するメリットは極めて大きい。 自らが手を挙げて政治家になろうという人物は、実はそれなりに立派な肩書の人物が少なくない。しかも、愛想も悪くない人物も多いため、その人物がスキャンダル体質や不和を起こす人物であるかを人間が見極めることは難しい。したがって、客観的に一定の判断材料を与えてくれるシステムを導入することには非常に意味がある。 また、人材不足で背に腹は代えられず、ほぼ全ての公認希望者に党として公認を出さざるを得ない場合であっても、事前にその人物のパーソナリティのリスク情報を把握できているか否かは、その後のリスク対応に天と地ほどの差が出る。その公認候補者がどのようなトラブルを起こしやすいのかを知った上で、様々な助言をすることができるからだ。 冒頭に述べた通り、岸田政権は風前の灯であるが、野党は十分に小選挙区で旗すら揚がっていない状態だ。今後、選挙が強く意識される半年以内に、野党は多くの小選挙区で公認候補者を無理やり立てる作業を進めていくことになる。しかし、その公認作業の過程で不適切な人物が多数含まれることがあれば、野党は選挙後の政権交代どころか、政党運営すらままならなくなるだろう。 現状の日本の政党政治は政策の議論を行う以前の状態であり、政党を一般常識的なレベルで運営できる体制にすることから始めなくてはならない。その第一歩が政党の公認候補者として「マトモな議員及び立候補予定者を揃えること」である。 筆者は、日本の政党が近代化し、健全な政党政治が行われるようになることを強く願っている。 ---------- 渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや) 早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員 パシフィック・アライアンス総研所長。1981年東京都生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。著書に『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)などがある。 ----------
早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員 渡瀬 裕哉