渡辺謙、妻夫木聡の未来に期待「どう年輪を重ねていくのか楽しみ」 2人で向き合った“生きる”というテーマ
■妻夫木聡、家族ができて変化「『死ねないな』と思うようになった」
繰り返される手術と抗がん剤治療にうんざりした成瀬は陸に「殺してくれよ」と頼み、あっさりと承諾した陸だったが、「でもその前に、やりたいことはありませんか」と提案。バイクで旅に出た2人はキャンプをしたり、生まれた街へ行ったり、初恋の人に会ったり…人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求めながら各地をめぐることとなる。 人が死に向かう姿を丁寧に描写した今作。撮影を通し、妻夫木は「より一層、『なんのために生きているのか』という問いに、「家族のために生きている」とはっきり感じるようになりました。結婚して子どもができるまでは考えていなかったし、役者の仕事にまい進して『いつ死んでもいいな』と思うこともあった。でも今は家族ができて『死ねないな』と思うようになった。今は、1分1秒を生きることがとても貴重。なんでもないこと、例えばコーヒーを飲む瞬間だけでも幸せを感じられるようになった気がしますし、ものごとに対して冷静に見れるようになった。それがより深くなったような感じがします」と影響を受けた。 今作は「陸の再生物語」だとする渡辺は「幸せってそんなに大きなものではない。夜、寝る前に布団に入る時間が幸せだったり、そんな瞬間の積み重ね、小さい幸せを日々見つけていかないといけないんだ、と思いました。僕自身も大きな作品に出ることができたりすることも喜びですが、人間としては些末(さまつ)な日々のなかに誰にでもある幸せをみつけたい。それがこのドラマでは数多く描かれていた気がしました」と自らと重ね合わせた。 物語にちなみ“死ぬ前にしたいこと”を問われると妻夫木は「結局、家族になってしまう。毎日変化していく子どもたちを見るとやりたいことだらけ、死ぬ瞬間に子どもたちの顔をみれていたらいいのかな。自分の欲で『こうしたい』というのがなくなってきた。いただいた仕事を全身全霊尽くすことが幸せな気がします。より一層シンプル化しています」とここでも変化を明かす。 続けて「(自分の意識が)違うことに向くようになってきちゃったのかもしれない。親としてやることは用意しているけど、子どもたち自身、どう育つかはわからない。そういう相談も(渡辺に)していたんですけど『俺もそういう相談はある女優さんにしたんだけど、そんなことよりも役に集中しなさいって言われた』って聞いて面白かった。健康で元気でいてくれたらそれで十分です」と和やかな笑みをみせた。