ゴールドマン元CFO、住宅投資会社の共同社長に就任-金融業に復帰
(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス・グループの元最高財務責任者(CFO)、スティーブン・シャー氏は、米一戸建て住宅への投資で最大規模を誇る運用会社の一つ、プレティアム・パートナーズの経営陣に加わる。同氏は一時期、事業会社の経営に携わっていたが、ウォール街に復帰することになる。
シャー氏は今週、ゴールドマンの元幹部ドン・マレン氏が創業したプレティアムの共同社長に就任する。マレン氏が昨年採用したモルガン・スタンレーの元CFO、ジョン・プルザン氏とともに社長職を務める。プレティアムの運用資産は550億ドル(約8兆1300億円)
マレン氏(66)はインタビューで「当社は急成長を遂げた。もし私がバスにひかれても会社を運営できるような人材を周囲に確保しておく必要がある」と指摘。「これは私が死んだらガラスケースから彼らが出てきて会社を運営してくれるという意味ではない。今はやるべきことが山ほどある」と述べた。
これには会社拡大も含まれており、マレン氏は「このような人材を採用することで、当社は合理的かつ成熟した方法で成長できる体制が整うことになる。当社はまだ成長の途上にある」とした。
シャー氏(60)はキャリアの大半をゴールドマンで過ごし、2021年までの最後の3年間ではCFOを務めた。その後、米レンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングスの経営に携わったが、タイミングの悪い電気自動車(EV)事業への投資で同社が経営難に陥ったため、3月にその職を退いた。
プレティアムへの入社により、シャー氏はなじみのある金融業界へのカムバックを果たす。今回は大手企業によって再編が進む住宅用不動産市場に注力する。
マレン氏は米国の差し押さえ危機の余波の中でカリフォルニア州とアリゾナ州の住宅街を歩き回り、低価格の住宅を買いあさるなど抜け目のない投資を実施。その後、プレティアムを拡大し、約10万戸の賃貸住宅のポートフォリオを構築したほか、他の不動産分野にも進出した。その中にはアパートへの新たな投資も含まれる。一部の大家やその貸し手が相次ぐローンの満期に頭を悩ませているほか、国内の一部地域では供給過剰の問題を抱えているため、投資家にとって集合住宅市場にチャンスがある。