搭乗拒否のカスハラ明示へ 全日空、抑止力の強化狙う
全日本空輸が、顧客から従業員への迷惑行為を指す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の対策強化に乗り出すことが23日、分かった。乗客による不当な要求を抑止できるよう運送契約を定めた約款を改め、搭乗を拒否する迷惑行為の明示を検討する。カスハラ発生時の対応要領や従業員のケア態勢も充実させる。一連の対応を2024年度に実施する計画だ。 社会問題化するカスハラへの取り組みは航空に限らず、鉄道やホテルといった業界でも進む。度を越した要求にノーを突きつける動きがサービス業全体に広がってきた。 全日空の場合、機内の安全を阻害する行為は航空法で禁じられる一方、法律による明確な規制がない迷惑行為への対応が課題だった。抽象的な表現で搭乗を拒める要件を定めているが、今後は旅客運送約款を改め、カスハラ行為の禁止を呼びかける考えだ。 全日空は21年4月、社内指針で初めてカスハラの定義を明記。23年度からは「暴言・大声」や「暴行」など11種類の具体的な行為に分け、機内や空港といった部門別の発生件数を把握している。