宇佐市親子殺害に死刑判決、遺族は「被告は荒唐無稽な話で責任逃れに終始しており当然」
大分県宇佐市の民家で2020年、親子を殺害して現金を奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた会社員佐藤翔一被告(39)の裁判員裁判の判決で、大分地裁は2日、求刑通り死刑を言い渡した。被告側は無罪を訴えていたが、辛島靖崇裁判長は複数の間接証拠から被告による犯行と判断。「借金返済のために2人の生命を奪った刑事責任は極めて重大」と述べた。被告側は即日控訴した。 【法廷画】判決を聞く佐藤被告=イラスト・構成 山下慧蔵
発生から約4年半。全面的に起訴事実を否認した佐藤被告に対し、大分地裁が2日言い渡した死刑判決。遺族は判決後、大事な家族を奪われた悔しさと憤りをにじませた。
「被告人を死刑に処する」。2日午後、大分地裁1号法廷。開廷から約50分後、辛島裁判長が後回しにした主文を告げると、長髪を後ろで結び、黒色スーツ姿の佐藤被告はじっと前を見たまま動かなかった。判決後、弁護人に会釈し、法廷を後にした。
閉廷後、山名高子さんの姉(87)は「大事な妹がなぜ殺されないといけなかったのか……」と悔しそうに語った。高子さんの次男(54)は判決を「被告が荒唐無稽な話をして責任逃れに終始したことからすれば当然」とし、「真実を語り、母と兄に謝罪する日まで戦い続けたい」とコメント。博之さんの妻と長女も「(被告は)反省し、罪を償ってもらいたい」との談話を出した。
一方、主任弁護人は「有罪という先入観で証拠を評価した」と批判。佐藤被告は比較的冷静に判決を受け止めた様子だったという。
大分地検の小山陽一郎・次席検事は「検察官の主張を裁判員が真摯に検討してくれた結果」とコメントした。