中国・チベットのポタラ宮、1000点近い貴重なタンカをデジタル化
【東方新報】中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ラサ市(Lhasa)の「ポタラ宮(Potala Palace)で3月初旬からチベット仏教の仏画「タンカ(唐卡)」のデジタル化作業が始まっていた。現在までに約1000点の「タンカ」が目録化され、また鑑定と高解像度スキャンも行われている。 タンカはチベット文化独特の絵画で、通常は色つきの絹に描かれた宗教的な巻物絵画で、礼拝用に掛けられるためのものだ。またタンカには、チベットの歴史、政治、文化、社会生活など、さまざまな題材も描かれている。現在伝わっているタンカのほとんどは、チベット仏教や仏教伝来前から現地で信仰されていた土着の宗教「ボン教)」に関連する作品だ。 「ポタラ宮文化財研究事務所」の文化・博物館司書のパルデン・ツェリン氏によると、現在ポタラ宮には、異なる時代に異なる場所で描かれた6000点以上の貴重なタンカが収蔵されているという。同氏は「ポタラ宮に収蔵されているタンカには、仏教の物語、チベットの歴史や文化、著名人の伝記、チベット医学、そしてさまざまな芸術や工芸の技術が描かれています。これら貴重なタンカのデジタル化と再分類が私の仕事です」と話す。 また同氏は、ポタラ宮に所蔵されている古代の文献や彫刻の整理と研究にも力を入れており、これまでに「ポタラ宮第一経蔵所の古代文献目録」や「ポタラ宮所蔵古代文献研究論文集」などの出版物を刊行し、成果をあげている。 「ポタラ宮管理事務所」のクンガ・タシ副所長によると、ポタラ宮は西暦7世紀の「吐蕃王国(トバン王国、Tubo Kingdom)」のソンツェンガンポ王の命により建造されたという。 副所長は「13世紀にわたって、この傑作建造物は、中国全土の多様な民族間の交流、貿易、文化融合の豊かな歴史の証として存在してきました。ポタラ宮は、チベット族の文化遺産の宝庫として、また、チベット族最大の最も丁寧に保存された宮殿様式の建築群として存在しています。1961年に最初の国家重要文化財に指定されたポタラ宮は、時代を超えてその重要性が保たれてきました」と説明する。 ユネスコ(UNESCO)世界遺産登録30周年を記念して現地取材を行った中国日報の記者は、建築の素晴らしさに焦点を当て、伝統工芸の保存に尽力するチベット自治区の文化財管理部門の取り組み、ポタラ宮殿の保存にインターネットやビッグデータなどの現代的なツールを活用している点を紹介した。 ポタラ宮は、伝統的な中国文化の保存と伝承に対する創造的な変革と進化を先導する一つのモデルとなっている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。