サトウキビ穂先まで水没 種まき後のインゲンマメも 奄美・沖縄の大雨
鹿児島県・奄美地方と沖縄県・本島北部で8日から降り続いた大雨で、両県では農地への広範囲な冠水や、土砂の流入があった。10日夕方までの72時間に観測史上最多となる666ミリが降った鹿児島県与論町によると、サトウキビの穂先まで水没する最大7メートルの冠水被害が起きた。島内のほぼ全域で種まきを終えたばかりのインゲンマメ畑が泥水に漬かり種のまき直しを迫られる恐れが出ている。 「種をまき直すことになるかもしれない」。雨が小康状態になった11日、与論町産業課の担当者が不安そうな声でいった。 インゲンマメ産地の同町は2023年度、20ヘクタールで150トンを生産。24年度も9~11月に同規模で種をまいたが、ほぼ全てが泥水に漬かったという。露地やハウス栽培共に根腐れする恐れがあり「水が引いた後に見定めるしかない」としている。 サトウキビ畑が多い島西部の茶花地区では、最大で7メートル冠水し、一部の畑では穂先まで水没した。担当者は「サトウキビがこれほど深く水に漬かったのは初めて。どんな影響が出るのか分からない」と語った。 気象庁によると、奄美と沖縄本島周辺で9日、線状降水帯が発生。1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が降り同庁は11月では初めての大雨特別警報を出す異例の事態となった。 鹿児島県の被害まとめでは、与論町で20棟が床上浸水した他、複数の崖崩れを確認。沖縄県によると、名護市など3市村で計10棟が床上浸水した。複数のサトウキビやパイナップルの畑が泥水に漬かり、のり面の崩落などで土砂が流入したという。同県東村によると、10月下旬から作付けが始まったカボチャ畑の4分の1ほどが冠水し、被害の確認を急いでいる。