18年前に登場したアメリカン・スーパーカーは驚異の1000馬力超え! オークションでは“億超え”必至 世界でたった3台の特別な「サリーン」とは
わずか3台しか作られなかったスペシャルモデル
2025年1月に米国のアリゾナ州フェニックスで開催されるRMサザビーズのオークションに、2007年型のサリーン S7 LMというスーパースポーツカーが出展されます。どんなクルマなのでしょうか。 【画像】レースでも活躍したマッスル・スポーツカー サリーン「S7」を写真で見る(31枚)
第2次世界大戦後のアメリカンスポーツカーの歴史には、名だたる欧州のメーカーが製作した最高のモデルに匹敵するクルマを製作した多くの人物が登場します。 クルマ好きの人なら、ブリッグス・カニンガム、キャロル・シェルビー、そして最近ではダン・パノズあたりを思い浮かべるでしょう。スティーブ・サリーンもまた、そんな歴史に登場する人物のひとりです。 彼は最初、ストリートとサーキットの両方でフォード・マスタングのレーサー兼チューナーとしてブランドを確立しました。 世界の伝説的なサーキットで勝利を収めるレーシングカーを作り続け、1999年にスティーブは自らの名を冠した「サリーン S7」の製作に乗り出しました。 S7は2000年から2007年まで生産され、特注のカーボンファイバー製シャシ、レース用サスペンション、ミッドエンジンを備え、モータースポーツで活躍しながら公道での活発なドライビングをほぼ同等にこなす、理想的なモデルでした。 427キュービックインチ(約7L)のV8ツインターボエンジンは、欧州のライバルに匹敵するパフォーマンスを発揮しました。 0-60mph(約96km/h)加速は3.3秒、最高速度は200mph(約320km/h)を超え、アメリカで最もっとも強力なスーパースポーツカーとしての地位を瞬く間に確立しました。 S7には、さまざまな公認レーシングバージョンが製作され、セブリング12時間レースやル・マン24時間レースなどの耐久イベントやIMSAスポーツカー選手権で勝利を収め、サーキットでもその性能を証明しました。 2000年から2010年にかけて、S7は公式モータースポーツイベントで100以上の勝利と多くの表彰台を獲得しました。 2017年初頭に、サリーンは長年にわたるレースでの活躍を記念して「S7 LMプロジェクト」を発表しました。S7LMは2017年から2019年までの間にわずか7台限定で生産され、サリーンによって選ばれたオーナーのS7は、LM仕様にリメイクされました。 しかし、最終的に完成したのはわずか3台だったといいます。 今回、オークションに出品されるLM-007は、2007年に完成した後期生産型のS7がベース車で、2018年に現在のスペックへの改造が施されました。 LM仕様の7.0リッターV8エンジンに再設計された2基のターボを追加し、カーボンファイバー製チャンバーと軽量アルミ製マニホールドを介して、ルーフに取り付けられたインテークシュラウドから冷気を供給することで出力を向上させました。 アップグレードされたS7 LMのエンジンは、燃料やチューニングの仕方によって1000psから1300psという驚異的なパワーと、850ポンドフィート(約1152Nm)もの強大なトルクを発生しました。このハイパワーを6速MTで操るS7 LMは、最高速度240mph(約384km/h)を超えることができると言われています。 サリーンは、レースで活躍した際に開発された角度調整可能な2段リアウイングを追加して、エアロダイナミクスを向上させました。 さらに、リアのリップスポイラーとディフューザー、サイドスカート、エアベント、そしてスプリットチャンネルのエアフローを維持するために密閉されたアンダーボディによって、ダウンフォースを増大させました。 タイヤ&ホイールは、フロント19インチ、リア20インチのセンターロック式アルミホイールに、ミシュラン・パイロットスーパースポーツを組み合わせて装着しました。 サスペンションには不等長ダブルウィッシュボーンとアルミ製コイルオーバーダンパーを採用しました。 また、ハイパワーに対応するストッピングパワーとして、ブレーキシステムは6ピストンの「モノブロック」キャリパーがスリット入り2ピース フローティングのローターとともに四輪に配されました。 インテリアでは、アルカンターラとブラックレザーで縁取られたスパルコ製シートと4点式ハーネスが、乗員をしっかりとホールドしました。 ヘッドライナー、リアパネル、Aピラーもアルカンターラで覆われていました。アジャスタブル ステアリングコラム、バックアップカメラ、エアコン、パワーウインドーも装備して、快適性と利便性を高めていました。 スティーブ・サリーンの名は、アメリカの偉大なレーシング スポーツカーに付けられた伝説的な名前と同様に、チューナーとして、レーサーとして、そしてアメリカのパワーと独創性が組み合わされれば何が可能かを世界に示したカービルダーとして、記憶されることでしょう。 今日、彼の創り出したマシンは、発表当時と変わらずにユニークで畏敬の念を抱かせています。 今回出展される個体は、LM-007として誕生して以来、3688マイル(約5900km)を走行しています。 2018年にサリーンによってLM仕様にリメイクされ、2017年から2019年にかけて生産されたわずか3台のS7 LMのうちの1台であるこのモデルは、1000馬力を超えるパワーを備えた究極のアメリカン スーパースポーツカーなのです。 落札予想価格は、90万USドル~110万USドル(1USドル=157円として、約1億4130万円~約1億7270万円)とのことです。
VAGUE編集部