みんなでお金を出し合った『100歳ピアノ』廃棄の危機を乗り越え...ホテルのロビーに 音色に触れた人は「戦争を乗り越えたピアノ」「音がまだきれいに出ているんだ」
松葉ガニで有名な兵庫県豊岡市竹野町。この町では今から約100年前、港町で財を成した人たちがお金を出し合い、1台のピアノをドイツから取り寄せました。時を経た『100歳ピアノ』の今の姿とは。 【写真で見る】小学校で約80年間も使われていた…当時の『100歳ピアノ』の姿
兵庫県豊岡市竹野町。日本海に面して夏は海水浴、冬はカニを求める観光客が多く集まる町です。そんな竹野町にある「奥城崎シーサイドホテル」。 海が見える開放的なロビーに入ると、1台の年季の入ったピアノがあります。このピアノは100年以上前にドイツで製造され『100歳ピアノ』と呼ばれています。訪れた人が誰でも弾くことができるオープンピアノ。この100歳ピアノに集まる人々を定点観測しました。
子育てを終えてピアノを再開「すっごく楽しくて毎日弾いている」
午前10時、チェックアウトのお客さんでにぎわうロビー。チェックアウト前の女性がピアノに近づきます。弾いたのは「ゆず」の「栄光の架橋」。弾き終わると、周囲から拍手が。 (女性)「ありがとうございます。緊張してできない」 家族4人で旅行に来ていた女性。 (女性)「映画の世界みたいです。戦争を乗り越えたピアノって思いました」 子どもの手が離れた2年前、女性はピアノを再開したといいます。 (女性)「すっごく楽しいです。毎日弾いています。毎日1時間以上は弾いているかな。へたくそなんです。だからいっぱい弾かないとうまくならないので」 (家族)「最初からうまく弾けないけど、ずっと弾いているうちに、ちょっとずつちょっとずつ上手になっていって、最後1曲弾けるようになるのがすごいなと感心していますね」 (女性)「でしょ」
「退院したら絶対好きなことをしよう」そして始めたピアノ
午前11時、チェックアウトの作業が終わり、昼からの宿泊客を受け入れる準備が始まります。 「エリック・サティ」の「ジムノペディ」を弾いていた男性。ピアノを弾き始めたのには、あるきっかけがあったといいます。 (男性)「コロナになって肺炎を併発して入院したんですよ。防護服を着て治療される感じ。それで退院したら絶対好きなことをしようと思った時に、音楽やりたいって湧き出てきて。(Qこれだけ弾けるのはすごいですね)いえいえ、全然。僕まだピアノ初めて1年ちょっとですから全然です」 小さい頃に一度挫折したピアノ。やると決めたなら毎日弾こうとSNSで配信することを日課にしました。自己流で練習するうちに自然と弾けるようになったそうです。