【都議選に大打撃か】都議会自民党の「裏金疑惑」浮上で高笑い・新党結党の石丸伸二氏が抱く「皮算用」
「派閥の裏金」と同じスキームが疑われ
東京都議会の自民党会派「都議会自民党」が、政治資金パーティーで販売ノルマを超えて集めたパーティー券収入を政治資金収支報告書に記載せず、裏金化している疑いが持ち上がっている。 【写真】都議会自民党に大打撃か…! 裏で笑う「新党党首」の素顔 同パーティーはコロナ禍を除き、盛大に行われていた。元都議がこう語る。 「都議1人につきパー券を100枚(200万円分)渡され、“50枚(100万円分)がノルマで、超えた分は議員が中抜きしてもいい”と言われていた。都心を地盤とするベテラン議員は中抜き額が100万円を超え、超過分は事務局と議員で二分する仕組みだ。その一方で、ノルマ達成のために自腹を切ってパー券を買う若手議員がいるとも……」 ノルマや額は異なるものの、旧安倍派や旧二階派で行われていた“派閥の裏金事件”では、国会議員がノルマを超えて集めたパー券の売り上げは派閥事務局から議員にキックバックされるか、もしくは派閥に納めず議員が中抜きしていた。 「あのスキームと一緒で、事務局も議員も長年、疑問を持つこともなくやっていた。だが1年前、派閥の裏金問題は大騒動となった。都議会自民党に飛び火するのは時間の問題だったのだろう」(同元都議) 自民党東京都連では’22年から’23年にかけて開催されたパーティー収入に不記載があったとして収支報告書を訂正している。会派と議員の収支報告書には収入として記載されておらず、政治資金規正法違反(虚偽記載)にあたるとみられる。 ◆摘発の行方は… ただ、今件の裏金の金額は議員一人当たり100万円から200万円ほど。国会議員の派閥の裏金事件で、検察は4000万円以上を基準に摘発していた。「都議選への影響を勘案し、摘発見送りもある」とささやかれる中、検察がどこまで本腰を入れて捜査するのかが争点となっている。 「昨年12月から東京地検特捜部が応援検事を招集し、任意で事情を聞いている。会派の不記載額は3000万円もあるそうで、意図的に不記載とした金額がそこまで高額なら、政治資金規正法違反(虚偽記載)で会計に携わったY氏を立件する可能性はあると思われます」(全国紙司法担当記者) 身動きの取れない都議会自民党を横目に「あの男」が立ち上がった。 昨年の都知事選で注目を集めた石丸伸二・前安芸高田市長(42)だ。石丸氏は新たな地域政党立ち上げの会見を1月15日に都庁内で開く予定だったが、わずか2日前の13日、「会見の中止」を自身のX上で発表。だが同日、会見場を変更して会見は行うとアナウンス。新たな会見のリリースでは参加条件として「マス媒体の有無」「登録者数100万相当のネット媒体の有無」を問うなど、細かい注文をつけた。 会見の冒頭では、記者クラブ幹事社であった時事通信を名指しし、こう述べた。 「情報管理として、(リリースを)勝手に流出させていいんですか? いまだに謝罪がない。おごっている」 初動からメディアを分断し、しかも石丸氏本人は出馬しないというが、それでも自民党の候補を打ち負かすだけの風を生み出せるだろうか。 「都庁内や都議会では、石丸さんの件はほとんど話題になっていません。擁立する候補者次第でしょうが、昨年の都知事選で出馬したような売名目的の候補者も少なくないはずで、影響力は限定的と見られている。むしろ、前回の衆院選で躍進した国民民主の勢いに注目が集まっています」(都庁幹部) ◆「擁立を進める」と宣言 昨年12月の読売新聞の世論調査では、国民民主党の政党支持率が自民党(24%)に次ぐ12%となり、8%の立憲民主党を抑えて初めて「野党1位」に躍進した。 都議会では議席はないものの、玉木雄一郎代表(55)は「衆院選では大きな期待をもらえた。都議選に向けて擁立を進める」と議席獲得への意欲を示している。 国民民主党は小池百合子都知事(72)が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との連携も進めている。昨年4月の衆院東京15区補選で、小池知事が支援した無所属の乙武洋匡氏(48)の応援に玉木氏は何度も入った。両党は勉強会を重ね、先の衆院選では都民ファが国民民主に協力している。 「都議選での競合を最小限に抑え、共に議席を伸ばしたい」 そう付言し、都民ファの幹部が続ける。 「自民の勢いがないので、国民民主党は躍進するだろう。一定の議席を得られたら都民ファ、公明党、国民民主党による都議会与党を構成したい。選挙区の調整についてはまだ話し合っていないが、世田谷(8議席)、大田(7議席)、練馬(7議席)など定数5議席以上の選挙区なら、国民民主と候補者がかぶっても問題ないだろう。小池さんと玉木さんの両トップは仲がいいので、大きく揉めるようなこともないはずだ」 実態解明が進まぬまま1年以上もくすぶる裏金問題は、都議会自民党にも影を落とす。国民民主党が衆院選の勢いのまま議席を獲得し、都民ファと連携することとなるのか、石丸氏が再び旋風を巻き起こすのか。夏の都議選に向け、すでに戦いの火蓋は切られている。 取材・文:岩崎大輔
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