「現金は今後も大きな役割」と日銀総裁-渋沢栄一など新紙幣発行
鈴木俊一財務相は2日の閣議後会見で、「紙幣は現在もなお主要な支払い方法として利用されている」とした上で、「偽造紙幣による経済的損失や社会的混乱を未然に防止することは経済的にも極めて重要な観点だ」と強調した。
新紙幣の発行に合わせて、自動販売機や現金自動預け払い機(ATM)でシステム改修などの対応が必要になる。一般社団法人「日本自動販売システム機械工業会」の担当者によると、新札発行に伴う対応費用は23年1月時点の試算で約5100億円だった。業界にとっては負担だが、この費用は設備投資による経済効果と同義だ。
今回発行される新札が、広く流通する最後の紙幣になるのではないかとの見方もある。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは6月のリポートで、日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を30年代には発行するのではないかとの見方を示した上で、そうなれば「新札の流通もいずれ大きく減少するだろう」と指摘している。
--取材協力:横山恵利香、伊藤純夫.
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Takashi Umekawa, Toru Fujioka