「まずは1勝したい」その言葉に込められた覚悟と想い……牧野任祐、勝負の2024SF開幕戦へ
いよいよ3月9日・10日に鈴鹿サーキットで開幕を迎える2024全日本スーパーフォーミュラ選手権。昨年シリーズチャンピオンに輝いた宮田莉朋は、今季海外に拠点を移しFIA F2とヨーロピアンルマンシリーズに参戦する。彼にとっては新たな夢への挑戦となる1年だが、同時に国内トップフォーミュラでは21年ぶりに“前年王者不在”のなかで新たなシーズンが始まることとなる。
空席となったカーナンバー1を奪い合う戦いに注目が集まる2024年シーズン。そのなかで、開幕前のテストで目に留まったのが、スーパーフォーミュラ参戦6年目を迎える牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。
2015年に鈴鹿サーキットレーシングスクール(現ホンダレーシングスクール鈴鹿)でスカラシップを獲得し、FIA F4日本シリーズ、全日本F3選手権を経て、2017年にはヨーロッパに戦いの舞台を移した。2018年にはFIA F2に挑戦し、第10戦モンツァのレース1で優勝を果たした。
2019年から活動の舞台を日本に戻し、国内2大カテゴリーでレギュラー参戦を開始する。なかでもスーパーフォーミュラでは、デビュー戦となった第1戦鈴鹿でいきなりポールポジションを獲得する快挙を達成。期待度は一気に高まったが、決勝レースはトラブルが原因でのクラッシュという悔しい結果に終わった。2020年第4戦オートポリスで初表彰台を獲得し、初優勝へ向けて調子を上げつつあるように見えたが、その後の最終戦直前に髄膜炎を発症。翌2021年の第2戦まで欠場を余儀なくされるなど、苦しい経験もしてきた。
そんな中、多くのファンや関係者の記憶にも新しいのが、2023年の第6戦富士。デビュー戦以来となる通算2度目のポールポジションを獲得した牧野は、スタートでリードするも、途中のピットストップでリアム・ローソン(TEAM MUGEN)の逆転を許し2番手に後退。最終ラップまで必死に追いかけるも、その差は少しずつ広がっていった。