娘の“初ブラ”いつごろが目安? コミュニケーションとりづらい思春期の発育「令和になっても親子ともに戸惑いや悩みは尽きない」
■コミュニケーションが難しい思春期だからこそ、からだの成長を“ポジティブ”に捉えることが重要
──上地さんが講師を務めるワコールの下着教室「ツボミスクール」について教えていただけますか。 「小学4年生から中学3年生の子どもとその保護者を対象に、成長期のからだの変化や下着の選び方をお伝えする無償の下着教室です。2001年からスタートし、当初は子ども会など民間の団体からお声がけいただくことが多かったのですが、参加者の口コミが広がり、徐々に小中学校から要請されることが増えていきました。関東と関西の一部地域では出張型、そのほかの地域はオンラインで受講していただいており、これまでの受講者は延べ約18万人にのぼっています」 ──なぜこのような取り組みを行っているのですか? 「ワコールの下着教室の歴史は昭和30年代後半に遡ります。洋装の急速な普及に伴い、衛生面、機能面、身だしなみや役割をお伝えする目的で、啓発活動を行なってきました。当時は高校卒業を控えた女子学生を対象としていましたが、『もっと早く知りたかった』『胸がふくらみ始めた時期に誰にも相談できなかった』という声があり、成長期の女の子に向けて「ツボミスクール」を開始しました。それから何十年も経ちましたが、令和の時代になっても親子ともに“初めてのブラジャー”への戸惑いや悩みは尽きないようです」 ──保護者からは特にどのような悩みが多く聞かれますか? 「ブラジャーを買っても、娘がつけてくれないというお悩みの声はよく聞きますね。お友だちがつけていないから嫌だとか、“ブラ線”をからかわれたくないと言うお子さんは多いようです。中には『ブラジャーをつけなければいけないエビデンスは?』と問い返されて、返答に困ってしまったという親御さんもいました」 ──胸がふくらみ始める時期=思春期は子どもとのコミュニケーションも難しくなります。 「自分のからだの成長を恥ずかしく不安に捉えてしまうのも思春期特有の心理です。ブラジャーに抵抗を示してしまうのも、その表れの1つかもしれません。当スクールでは下着のお話を通して、成長をポジティブに捉えてほしいという想いを込めています。ゲームなども盛り込みながら楽しく学び、自分のからだを大切に想うようになってくれたらうれしいですね」 ──ツボミスクールは学校で開講されることが多いとのことですが、保健体育の授業ではからだの成長に伴う下着の指導は行われないのでしょうか。 「先述の胸の成長はワコール独自の研究によるもので教科書にも載っていないため、養護教諭の方からも『こういうデータが欲しかった』と言っていただけることは多いです。今の子どもはスマホでいくらでも検索してしまうため、正しい知識を得る前に誤った情報に触れてしまうことあると思います。自分のからだを守るために、からだの成長を正しく理解し下着をきちんとつけることはとても大切なことです」 ──思春期のお子さんをお持ちの親御さんにどんなことをお伝えしたいですか? 「私も2人の思春期の子どもを育てているのですが、正しく下着を着用する“理由”を踏まえて説明したほうが納得してもらえるように思います。からだの成長や下着の話は、親が遠回しになることで子どもも恥ずかしがったりネガティブに受け止めがちになります。親御さんにもお子さんの成長をポジティブに捉えていただけたらと思います」 (取材・文/児玉澄子)