〈1.1大震災〉寺社再建、補助手厚く 復興基金で6市町、知事に要請
石川県は16日、能登半島地震の復旧・復興に向けて創設した「復興基金」の活用策を巡り、被災者支援などソフト事業に活用する方針を示した。輪島市内で開いた意見交換会には、七尾市以北の6市町の首長が参加し、地域コミュニティーの核となってきた寺社や集会所の再建に向け、修繕費を手厚く補助するよう馳浩知事に要望を伝えた。災害公営住宅の用地取得などハード事業の実施を求める声も上がった。 県は他の市町からの意見も聴き、8月下旬までに基金の活用方針を決める。9月以降に予算編成して順次、基金事業を進める。 意見交換会では、県が基金の概要を説明した後、市町が事業の要望を伝えた。 要望のうち、6首長がそろって訴えたのは、熊本地震でも予算化された寺社などの地域コミュニティー施設の再建補助事業の実施。能登町の大森凡世町長は「祭り文化が強い。被災者は早期再建を願っている」とし、補助率と補助上限額を大幅に拡充するよう求めた。 穴水町の吉村光輝町長は墓の管理が被災者の大きな負担になっているとして、共同墓地の新設経費の支援を主張し、珠洲市の泉谷満寿裕市長は「住宅再建に必要な建築士の手が足りない」として、全国から受け入れるために必要な旅費などの補助を要望した。輪島市、七尾市、穴水町は災害公営住宅の用地取得費の助成を訴えた。 志賀町の稲岡健太郎町長は「ハード事業でも、生活やなりわい再建に関連する事業には充当できるようにしてほしい」と述べ、弾力的な運用を求めた。馳知事は「本当に被災者は困っている。(使い道を)詰めていきたい」と述べた。 復興基金は特別交付税などを原資とし、総額約540億円。宅地の液状化対策や水道管修繕の費用補助など、被災者支援のうち、国事業でカバーできない部分を補う。18日には残る13市町との意見交換会を開く。